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ビジネス関連書籍の紹介日記です

脳がクリアになるマインドフルネス仕事術 川野泰周

禅僧で精神科医でもある川野泰周氏と、経営者である柳内啓司氏による書籍で、疲れやストレスをマネジメントするための一冊です。

スマホやインターネットの普及によって脳のストレスが100倍から1000倍にも膨れ上がっていると言われる現代、精神科医としてさまざまな症状を訴える患者に向き合う川野氏が、脳の疲れをリフレッシュ、また心をリセットする方法を伝授しています。その手法というのが、川野氏のもう一つの顔である、禅僧としての経験から語られる瞑想法「マインドフルネス」です。

 マインドフルネスは、雑念をいったん手放し、心を整えることと言われています。アメリカの有名な実業家、ビルゲイツも取り組み、アメリカやヨーロッパでは有名になりました。さらに精神医療の世界にもごく一般的に取り入れられ日本でも知られるようになったのです。このマインドフルネスの源流になっているのは、インド発祥の仏教や日本の禅の精神だと言われています。マインドフルネスを日本語に訳してみると「心を向けること」となるそうです。禅の精神には、一日一日を大切に生きることという教えがあり、生活のひとつひとつを丁寧に行うことが禅的な生活だと言われているそうです。仕事のストレスや悩み、不安をいったん手放して、動作に集中することを目的としたマインドフルネスは、この禅の精神から来ているとされているため、禅やマインドフルネス、また、禅とビジネスについての結びつきについて関心が高まっています。実際に精神療法として取り入れられている、というものの、この本の中では実際の日常生活に取り入れられる、簡単なマインドフルネスの実践法が多く紹介されています。

なかでも、呼吸しながらできる呼吸瞑想や、歩きながらできる歩行瞑想が初級編として紹介されていて、座りながらできたり、休憩の合間に取り入れられたりできると感じます。方法も簡単で、あぐらやいすに座った状態で目を軽く閉じるか、半分閉じた状態にし、頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで、呼吸を始めます。2回から3回ほど深呼吸をしたら、あとはひたすら自然な呼吸に意識を向けるだけだそうです。鼻から空気が入り、鼻から再び空気が抜けていく感覚に注意することで、呼吸そのものに集中できる状態にします。続けていると、雑念がわいてきてしまいますが、それを無理に消し去ろうとせず、雑念に気づいて、よし呼吸に戻ろうというふうに意識するのが大事だそうです。

この本ではこのような具体的な方法に加え、ビジネスライフの上で部下との関係に悩んだり、ストレスで体調がすぐれないといった悩みをもった人が、川野氏に悩みを相談するような一問一答形式で進む記述もあり、とても読みやすいと感じます。

マインドフルネスを利用すると心に余裕ができる

この本では、そういった質疑応答形式で進んでいくページもあることから、社会に出て働いている自分に置き換えて「あるある」と共感できるところが魅力だと感じています。たとえば、寝起きがつらいという悩み。前日は遅くまで仕事をしていて、深夜に帰宅、寝て起きても「昨日の続き」という感覚を持っていて疲れが全く取れていない、という状況について、似たような質問項目がありました。「また仕事か…」と気がめいってしまうという相談は本当に共感しました。そんな時こそマインドフルネスが役に立つという川野氏。
寝起きに瞑想したらまた寝てしまうのでは…と思いがちですが、瞑想には心身をアクティブにする働きがあるなど、睡眠医学も専門とする見解がとても説得力がありました。布団の中でだらだらとスマホいじりをする時間をたった5回の瞑想に変えるだけで脳を活動モードに切り替えられるというのが興味深かったです。

しかしこれも呼吸に意識を向けることで初めてスイッチが切り替わるので、大事なのはよし呼吸瞑想をはじめるぞという、気持ちだと感じました。もうひとつ役立っているのは、歯磨きの時間や、満員電車の中で過ごす時間に取り入れられる瞑想法が載っていることでした。朝の身支度はバタバタと行ってしまいがちですが、歯を磨いていることに集中する、意識を向けることでしっかりマインドフルネスになっているというのが驚きでした。

同時に、普段、歯磨きをしている間もあれこれ仕事の悩みや今後の不安などもやもやした気分を引きずっていることに気づかされました。満員電車の中では、つり革につかまりながらできる瞑想がとても面白いと感じます。内容は簡単で、つり革につかまった状態でただ呼吸瞑想をするだけなのですが、一駅分、二駅分と、行う時間を決めてそのときはつり革瞑想に集中するという意識の持ち方が新鮮でした。

呼吸を穏やかに行うことによって余裕ができ、外から自分を観察するような状態になれると、満員電車にのっている自分もほんのささいなことと思えるようになる、そこから通勤へのストレスを軽減できるということでした。電車にのっている時間は変わらないし、人の多さも変わらない、そんなときに変えられるのは確かに「自分の心の持ちよう」くらいかなと感じました。瞑想によって意識が電車の窓からすり抜けて、どんどん上に上っていき、街を見下ろしたり、日本列島を見下ろせるくらいまでのイメージを持つと楽しい、というのは確かに面白そうだと感じました。

こうしたストレスとの向き合い方だけでなく、クリエイティブに携わる自分の職業と照らし合わせて興味深かったのが、「アイデアがわかない」という悩み相談のコーナーでした。アイデアがわかずに焦り、不安感でいっぱいになるという心の状態を整えるという項目では、「アイデアがない」のではなく、「インプットでいっぱいになっている状態だ」と気付くというのが印象的でした。

新しいアイデアが入る余地を作るためには、心に余裕がなければいけないし、その心が不安や焦りでいっぱいになっているのであればそれを手放す訓練をすればよい、という手順がとても腑に落ちました。


切り替えが苦手な人におすすめ

この本をお勧めしたいのは、まさに切り替えが苦手な人です。私は、今日悩んでも明日悩んでも同じことに対し、今からその悩みで頭も心もいっぱいになり不安だらけになってしまいがちです。しかし、その場になれば何か解決方法がふと浮かぶかもしれないし、そのふとしたアイデアは心の余裕から生まれると考えると、不安や焦りを抱え込まずに手放しておくということはとても大切なことだと感じました。

「そうはいっても…」と悩んでしまう人にこそ読んでもらいたいです。仕事としてやらなければいけないことは変わらないし、量も減らせません。この本で「脳は変えられる」という表現がありましたが、忙しい現代を生き抜くためには、脳を変える訓練をして、心に余裕を持てるようにしたいと感じます。精神科や心療内科にかかれば、専門家による治療が受けられますが、そうした時間が取れない人も多くいると思います。この本では、前述したように呼吸だけでできる瞑想や、通勤中に行える瞑想といった、心を整える具体的な方法が載っています。

マインドフルネス、というなんとなく難しそうな横文字にはじめは先入観を持ってしまいますが、やることは、ただ作業を丁寧に集中して行うこと、でしたし、それによって少しでも心から雑念がなくなることですっと気持ちが軽くなって、あ、ちょっと頑張れるかもと前向きに仕事や日常生活に向かうことができました。さらに、自分の心に余裕ができると、山積して見えた問題や課題が一つ一つクリアになって解決させていけたことが自分にとって大きな収穫でした。

本によれば、こうした心の余裕を持つ訓練を重ねていくことで、対人関係もうまくこなせるようになると書いてありました。先入観を持って敵対意識を持つのではなく、相手をフラットな感覚でとらえられるということなのかな?と思っていますが、私の場合は、もう少し訓練が必要かなと思います。でも、自分のストレスが軽減できるだけでも、日々の疲れは違ってきたように思います。隙間時間にできることもたくさん載っていたので実践してみていただきたいです。

life-and-mind.com

anond.hatelabo.jp

脳がクリアになるマインドフルネス仕事術 (Business Life)

脳がクリアになるマインドフルネス仕事術 (Business Life)

  • 作者: 川野泰周,柳内啓司
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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