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お金のプロに聞いてみた! どうしたら定年までに3000万円貯まりますか? 坂下仁

私が紹介するのは、『お金のプロに聞いてみた! どうしたら定年までに3000万円貯まりますか?』という金融本です。
著者は元メガバンク行員で、現在は東証一部上場企業グループをはじめとするさまざまな企業・団体での講演活動やラジオ、雑誌などのメディア出演を通じてお金の啓蒙活動を行っている坂下仁さんと、大手IT企業を経て、現在香港で設立した会社を中心に、アジア・北米などを拠点として活動している宮大元さんです。

この本には、「お金」に関する様々な基本的知識が書かれています。

第1章では、日本と香港、イギリスなどの諸外国をお金の面で比較し、「資産運用」と「資産保全」の違い、資産を守るための4つの分散のさせ方、銀行と保険会社を守るために日本で起こっている弊害、「貯蓄から投資へ」のスローガンにまつわる危険な間違いなどについて、浅く広く触れられており、導入の部分からぐいぐいと引き込まれます。

 続く第2章からはかなり具体的な話題が展開されていきます。
まず、日本の金融機関全体に関して述べられているところがあり、銀行や保険会社を安易に信用して利用することの「恐ろしさ」が紹介されています。
金融機関を利用する際、我々は自己の資産を「守り」、「増やしてくれる」場所だと思って預けるわけですが、実際には金融機関は外国で作られた良質なプランなどを多少の手を加え「改悪」し、金融に関する知識のない「情報的弱者」からお金を吸い取り、貪る機関であるといった記載内容には戦慄させられます。

では、どのようにすれば我々は自分たちの資産を他者に利用・搾取されず、安全に増やしていくことができるのか、作者の経験から導かれた「利用してはならないもの」と「利用すべきもの」が続いて紹介されていきます。
例えば、おすすめの副業としてよくネット広告などにもあがってくる「FX」は、先にやり始めていた人に新規参入者はほぼ確実に勝てないから利用すべきではない、というものや、非課税が大きなメリットである「NISA」を銀行で利用してはいけない、やるならネット証券にすべきであるといった知識と、その理由が根拠を立てて説明されています。

第3章では、序章から定義づけられている「複利の効用」に関する内容と、IT革命に伴う今後の日本の金融業界の未来予想などがあらわされていて、非常に参考になります。
特に、「単利」と「複利」の違いについてグラフを用いて説明している部分では、早く知れてよかったと思う反面、もっと早く知り、実践すべきであったという念をも抱かせられました。

そして、最後の4章では、資産運用をしていくために必要な「タネ銭」作りの方法が、身近な視点からいくつも紹介されています。
特にためになったのが、保険料や携帯料金といった「固定費」を見直すことで、食費や光熱費などを削ろうとする無理な節約よりもはるかに重要である、という事実でした。


個人確定拠出年金について詳しく学べる

私が「この本を読んでよかった・役に立った」という点は3つあります。
1つは、「個人型確定拠出年金」(通称 iDeCo)についての記載内容です。

これからの日本社会は「超高齢社会」に向かって進んでいき、それに伴い年金の受給年の引き上げ、金額の減少が現在進んでいます。この流れはとどまることなく、さらに悪化の一途をたどるでしょう。
すると、「年金だけでは老後の生活費が足りない」という事態が発生してしまいます。
それを回避するために作られたのが、「確定拠出年金」(DC)という積立型の年金であり、その個人版が「イデコ」というわけです。

恥ずかしながら、私は金銭に関する知識が疎く、この用語を今まで全く耳にしたことがありませんでした。ですが、「利息や配当金には税金がかからない」「所得税・住民税が安くなる」などのメリットを知り、自分も申し込むことを決めました。
正直、この本と出会わなければ、こうした知識を知ることはおそらくなかったと思いますし、知ったとしても「どうぜ、将来年金をもらえるんだし、無理にややこしい制度に入る必要はない」と切ってしまっていたと思います。
60歳までは引き出せない、というのが少し気になるところですが、それを補ってあまりあるメリットの多い制度は、今の20代から30代の方全てに私もおすすめしたいです。

2つ目は、「銀行を信頼して、銀行に預けているだけではだめ」という考え方を持たせてくれたことです。
私は仕事の休みがあまりなく、働いて得た給料の大体を貯金していたため、同年代と比べればそこそこの資産を持っているのではないか、という思い込みを抱いていました。
ですが、本を少し読んでいく中で、銀行の利率がほんのわずかであること、資産運用をして得る「不労所得」は、世の中の全体の「勤労所得」を常に上回っていること、消費税率や物価の値上がりによって、資産を預けているだけでは相対的に減ってしまうことなどを知り、ならば「銀行に相談して何とかしよう」と思っていました。ところが、銀行ですすめる金融商品は、客を考えてのものではなく、銀行が利益を得るためのものでしかない、そのため金融庁から指導をされたこともある、といった驚愕の真実を知ったのです。
自分一人で資産運用を思い立ったとしたら、私は絶対に銀行に相談し、そして絶対に資産を吸い上げられていたと思います。

3つ目のよかった点は、「やるべき投資」「やってはいけない投資」を知ることができたことです。
私は今年の1月に高騰した仮装通貨のブームに乗じ、いくばくかの金銭をつぎこんでいました。
ところが結果は、某サイトのセキュリティの甘さにより、莫大な損失が生じ、仮装通貨熱も世間からあっという間に消え去ってしまいました。そのときに生じた損失を、私は仮装通貨を調べていた時にしった「FX」で取り返そうとしていたのですが、手を出す前にこの本と出会い、「FXがいかにやるべきではない投資」なのかということを痛感することができたのです。
今現在では、この本でおすすめされている「iDeCo」や「積み立てNISA」、「ふるさと納税」「ETF」などを利用し、安全かつ効果的に資産運用をし始めている所です。

一からお金のことを勉強をしたい人におすすめ

私はこの本を、「金融に関する知識がほとんどなく、1からお金の勉強をしたい」という10代・20代の若い人たちに読んでほしいと思います。
この本の文章は、平易な言葉とわかりやすい具体例で書かれており、通勤・通学といった「ちょっとした空き時間」にもそれほどの負担なく読み進めることができます。
また、どれか一つの知識について、専門的に深く掘り下げる、という性質ではなく、浅く広く触れているため、お金の世界の常識やルールを何も知らない人にとって、一気に世界観を変えてくれる力を持っています。

一方、多少知識のある人にとっては、決定的な部分に関しての明言をさけるような記載が多いため、かなり物足りなさを感じてしまうため、おすすめはできません。
私も、制度的に難しかった「iDeCo」に関しては、別途専門書を買い、そちらできちんと勉強をしました。

ですから、この本はそのように、金融の勉強をするための基幹としての扱いが一番いいように思います。
ここで大まかな知識と、世間での実情を知り、細かな所や最新の情報については専門誌やネット記事を参照するようにすると、最も効率的に知識を得、活用することができるのではないでしょうか。

2020年、東京オリンピック開催が決定していることにより、そこまでの日本社会は経済的な成長の余地があるとは思います。ですが、それ以降は、若者の減少、高齢者の介護費用の増大、AIの普及による既存の職業の形骸化・代替化など、様々な不安要素を抱えており、今まで通りの「とりあえず銀行に預けておいて、汗水たらして働いてお金を稼ぐ」という価値観だけでは自分たちの生活を守ることのできない時代になっていくような気がします。
ですから、お金に関する知識を持っておらず、まだまだ人生の長い若い方に、この本をぜひ手に取っていただきたいです。

 

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お金のプロに聞いてみた! どうしたら定年までに3000万円貯まりますか?

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