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人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力 午堂 登紀雄

人は誰しも孤独を恐れるのが世の常です。孤独を恐れるがゆえに常に誰かと繋がりと保とうと必死になることが往々にして見受けられます。昨今のSNSなどはまさにその表れと言えるでしょう。

そのために他人の価値観に縛られ、振り回され、自身の状況とは裏腹にいつまでたっても満たされない。しかし本当の自分は孤独の時にこそ現れるものです。孤独な時間というのは、言い換えれば自分自身と向き合うことができる唯一の機会とも言えます。

本当の自分を見つめ、その価値観を受け入れることで、自分自身が本当に望んでいること、自分自身が本当に感じていることを知ることができる。この本はそんな孤独を恐れる現代の人々に、孤独との向き合い方を通じて自己の確率や他者との関わりなど、自己発見と自己実現に対する新たな視点を提案してくれる一冊です。

本書は全部で6つの章から構成され、それぞれ内省、人間関係、価値観、行動、読書、家族となっています。

 第1章の内省では、自己のあり方とそこから得られる恩恵までを分かりやすく解説しています。例えば孤独に対する認識について、孤独はいけないもの、恥ずかしいものと、あまりに孤独を否定的に捉えて息苦しさを感じる人が多い世の中ですが、実際は孤独でいることがみじめなのではなく、孤独でいることがみじめだと思い込んでいるその人の偏見に問題があると本書では語っています。つまり孤独とは個人の中にのみ存在する単なる思い込みを指す言葉であり、

この本では人間が一人でいる状況そのもののことを孤高という言葉で言い換えています。一般的に孤独を恐れる人は自己主張を抑え、周りの人間の行動に迎合する傾向があります。自分の価値観を確立するためには当然自ら考え、実行しなければなりません。一方、当人は周りに迎合しながらも自分自身が個人の主張ができていないこと、本当の自分を見てもらえていないという事実を無意識に自覚しており、これらが原因不明の孤独感に苛まれる要因になるようです。

たとえ大勢の人間に囲まれていたとしても、自らの考え方によって当人にとって原因がよくわからない孤独が生まれるのは、こうしたメカニズムによるものなのです。他の誰かではなく、自らの意思や基準があり、それに従って考え行動することができれば、誰かからの評価や慰めは自分にとって必ずしも一番大切なものではないということが分かります。

これこそがこの本における孤高なのです。本書では自らの力で孤独を孤高にかえる考えかたや行動のポイントがこと細かに解説されており、必ず読み手にとって新しい発見、もしくは今ある考えの背中を押してくれるメッセージを見つけることができるでしょう。

自己表現の手段の獲得として読書

新たな発見や改めて考えさせられる文言がふんだんに詰まったこの本ですが、そんな中でも即効性があり実践しやすい、最も実用的な内容が盛り込まれた章として第5章の「読書」を挙げたいと思います。大抵の方は本を読む人は頭が良いという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし実際本を読むことの何が人の頭をよくする要因となるのかなど、具体的な利点も合わせて聞いている人は少なくなってくると思います。この本における一つのテーマとして、自分の価値観を確立するというものがあります。ここでは読書がいかにしてそれの助けとなるのか、それがわかりやすく示されています。自分の価値観を確立するということは自分自身を知るということです。自分自身を知るためには自分なりに自分を表現する手段がなくてはなりません。

読書がもたらす恩恵のひとつには、この自己表現の手段の獲得があります。通常人は何か良いこと、悪いことなどが起こったとき、そこに感情が芽生えるでしょう。それは嬉しい、楽しい、悲しい、悔しいなど様々です。これらの感情を表現するのはほかでもない言葉であり、もっとも効率的な言葉の獲得方法が読書であるというわけです。自己表現とは何も他人との関わりにおけるもののみを指した言葉というわけではなく、まさにこの本の第1章にもあるように内省においてその力を大いに発揮します。

何かを感じたとき、何か思うところがあるとき、ボキャブラリーが不足していると自分の考えを自分の中で上手く表現できず、せっかく自己を省みる機会があってもアイデンティティの確立を行うことができなくなってしまうのです。そしてもうひとつの恩恵とは、ものごとへの多角的な捉え方の獲得です。この本における読書の有用性とは考え方の枠組みを広げることにあります。私自身も読書を始める前は特に根拠もなく自分は他人より深く考えているつもりでいたものの、この本から読書の必要性を知り実際に行動に移したところいかに以前の自分が短絡的で一辺倒なものの考え方をしていたかを痛感しました。本には一人の人間が必死に思考し、その考えを凝縮したものが詰め込まれているため、一冊本を読んだだけでも考え方の幅は大きく広がります。

考えの幅が広がると自分の行動を感情に支配されず理性的な判断ができるようになり、世の中で起こっているありとあらゆる事象に一喜一憂したりすることがなくなります。つまり考えの幅が広がり多角的なものの見方ができるようになると、この視点においてはダメなことでも、この視点においては優れているなど、ものごとの一面だけで判断することがなくなり、あらゆることに対してそういった考え方よりひとつ次元が上の考えを持てるようになるのです。

この他にも本書では読書による恩恵に関して詳しく解説されています。なにしろ本を読むだけですから無理に価値観や行動の変化を意識する必要もなく、ここでの言葉を参考にしつつまずは読書に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

10代から20代の若者におすすめ

現代はSNSなどのコミュニケーションツールが飛躍的に発達したことにより、表面的には孤独などとは全くもって無縁の社会になっているかのように見えるかもしれません。

しかし、いつでも、どこでも、誰とでも繋がれる、こういったコミュニケーションの広がりが、むしろ人と人との深いつながりへの感覚に対して人々を盲目的にし、悩ましい孤独感を助長しているとも言えるのではないでしょうか。

そういった意味で現代はいたるところに見えない孤独が蔓延している孤独社会と言えるのかもしれません。この本は孤独を感じる全ての人に向けてあてられた本だと思いますので、こうした現代特有の見えない孤独を少しでも感じている人であれば誰にでも読んでみてほしい一冊ではあります。

しかしこの本が孤独からの脱却にともなって主に解消してくれる問題点は、自分が本当にやりたいことや本当に言いたいことをうまく表現できなかったり、自分で考えるということがよくわからなかったり、常に原因不明の孤独を感じたりなど、アイデンティティの確立が不十分であるために生じる若者にありがちな悩みがその多くを占めていると思いますので、10代から20代の若者、とりわけこれらの問題を抱えやすいと思われる学生におすすめです。

既に人生経験が豊富で比較的悩みの少ない方々にとっては、もしかするとこんなことは当たり前だろうと思う内容かもしれません。ただ、基本的に文章はわかりやすく噛み砕いてあり、内容も全く難しいものではなく、日頃からあまり本を読まないという方でも非常に読みやすいということから、これから読書を始める足がかりとしては悩みのない方々にも非常におすすめできる一冊ではないかと思います。

www.lifehacker.jp

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人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力

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