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ビジネス関連書籍の紹介日記です

ファストフードが世界を食いつくす エリック・シュローサー

この本はファストフード問題に焦点を当てたビジネス本です。フードビジネスにおいてはかなり有名な本でもあり、「ファストフード・ネイション」という名前でも知られています。

タイトルからわるようにフードビジネス、特にファストフードビジネスに焦点を当てた本であり、現代のフードビジネスを考える上で欠かせない本になっています。本の構成はジャーナリスト色が強いですが、全くファストフードビジネスについて知らないという人でも簡単にわかるように丁寧に解説されているのは良いところです。

この本のメインテーマはファストフードですが、健康や食事の問題について幅広く扱っているところも良い点でしょう。こうしたテーマについてファストフードの起源について迫ることで深く解き明かしていきます。ファストフードビジネスが現在のような形態になったのはごく最近のことだということも読み勧めていくうちにわかります。

 特にこの本で秀逸なのがファストフードの健康被害についてよく解き明かしていることです。ファストフードの健康被害としてサルモネラ菌問題などがありますが、ファストフードはこうした問題を引き起こしやすい食ビジネスであるということがよく説明されています。

例えば、ファストフード絡みの食被害で死亡する人が後を立ちませんがこれは不適切な食肉加工方法のためです。ファストフード業界の要望を答えるには大量の食肉を低価格かつ短時間で処理する必要がありますが、これによって食肉に糞便などが混じってしまい健康被害を生じさせることになります。こうした健康被害に関する問題は単にファストフードビジネスに関わる人だけでなくファストフードを少しでも利用している人ならば必ず知っておきたいところです。「これはアメリカのファストフードに関する本だから、日本のファストフードビジネスとは関わりがないのでは」と感じてしまう人もいるかもしれませんが、これは大きな間違いであることが本を読めば一目瞭然となります。

また、食肉加工ビジネスにおける低賃金・長期労働・違法労働形態などの問題についても触れています。食肉加工ビジネスはかつては金のなる木でしたが、ファストフードビジネスが勃興してからは平均賃金なども低下し続けています。こうしたファストフードビジネスを支える土台についてもしっかり説明されているのでファストフードビジネスの構造を詳しく知りたい場合におすすめです。

ファストフードビジネスの発展と肥満は比例関係にある

特に役だったのがファストフードビジネスと肥満に関する指摘についてです。ファストフードの消費率と肥満者の増加数は比例しており、ファストフードが肥満者を増やしていることがこの本を読めばわかります。ファストフードはかなり安くて人気ですが、その反面で肥満者を社会に大量に生じさせて社会保障コストなどを増加させることになっているのです。言い換えてみればファストフードが安い背景には社会保障コストが絡んでいるといっても過言ではありません。

 他にファストフードビジネスを変える方法についても前向きに書かれています。この本を読むとかなりがっかりするとともにファストフードを食べるのが嫌になりますが、著者は前向きに問題解決のための方策をいくつか提示しています。特にファストフードが現在のようになってしまったのは消費者が現行のファストフードの体制を支持しているからだという指摘はファストフードを利用する人ならば誰もが理解しておきたいところ。逆に言えば消費者が積極的により健康的な食品を求めることによってファストフードの構造を位置から変えていく事が可能だということでもあります。

 更にファストフード・ネイションではフードビジネスの社会における影響力の高さについても触れています。誰もが毎日何かを食べないといけませんが、逆にいえば人々はフードビジネスに依存しているとも言えるのです。だからこそフードビジネスはしっかりと規制されるべきですし、食品に対する価値観などをしっかりと消費者の側で作り上げていかないといけません。

 加えて、ビジネスマン・創業者の観点からいってもこの本は秀逸です。どのようにすればコストを削減できるのか、いかにすれば消費者に商品を知ってもらえるのかといったことについても詳しく紹介されています。これは単位フードビジネスだけでなく多様な業界において大事なテーマです。例えば、ファストフードにおいては商品の画一化、工程プロセスの統一化が大事ですが、こうした方策は他のビジネス領域においても大事なところでしょう。

最後に、ファストフード・ネイションを読んで約だったのが食事についてしっかりと考えることの大事さです。何を口に入れるのかしっかりとい考えずにフードビジネスに意思決定権を任せてしまうと終いに高い大小を払うこととなります。こういった事を考える機会はあまりありませんがじっくり考慮して置くべきことの一つです。

フードビジネスをされている人は必読

この本はフードビジネスで働いている人ならば必ず読んでおきたいところ。現代フードビジネスにおける問題点がわかりますし、その問題解決法も見えてきます。日本のフードビジネスは基本的にアメリカのフードビジネスをお手本としていますから、やはりこの本のように問題の根本を掘り起こす本を読むのが大事でしょう。例えば、問題解決法の例としてこの本では地産地食や「健康的な食品を消費者が積極的に求めることの大事さ」などを提示しています。

この本で提示された解決策はすでに取り入れられつつあることも本を読む前に知っておくと良いかもしれません。フードビジネスの構造などもわかりますから業界について手っ取り早い知識を得たい人にもおすすめなところでしょう。また、 ファストフードネーションは食問題やファストフードについて興味があるという人であれば誰にでもおすすめです。自分たちが食べている食べ物はどういった工程で作られているのか、どのような問題が介在しているのかといったようなことがこのファストフード・ネイションを読めばわかります。

とはいえ、けっこう読みにくい本でもありますから、もしもあまり本を読んでいる時間がないという場合にはファストフード・ネイションの著者が作ったドキュメンタリーをおすすめします。このドキュメンタリーを見ればほんの内容がある程度わかりますが、肝心なフード加工のプロセスなどについては軽くしか触れられていません。

 

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ファストフードが世界を食いつくす

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