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ビジネス関連書籍の紹介日記です

金融入門 第2版 日本経済新聞出版社

経済の基本がわかるようになる本です。この本を読めば、毎日のニュースをより深く理解することができます。編集は日本経済出版社で、国内外の金融界について長年取材を続けきたベテラン記者によって書かれた本です。
金融についてまったくわからない、これから金融を勉強したい、という人と対象に書かれています。
本書は新書であり、また池上彰氏のような話口調のような構成ではありませんので専門的で難しいと思う人もいるかも知れませんが、基本的な内容は網羅されており、比較的わかりやすく解説されているのが特徴です。

 1回ではなく、2回3回と繰り返し読むとより理解が深まってよいでしょう。本書は第1章~第6章で構成されています。

第1章はお金と経済の動き。そもそもお金にはどのような役割があり、どのようにして世の中に循環しているのかなどお金と経済についての基本的なことについて書かれています。
第2章は金融の担い手たち。お金をつかさどる金融機関にはどんな種類があるのか。どのような業務をしてお金を循環させているのか。
メガバンクといわれる銀行から地方の銀行、証券会社や保険会社まで、その役割について幅広く学ぶことができます。
第3章は金融市場の働き。この章から少しずつ国内だけでなく外国との関わりの中での金融市場について触れていきます。
金融市場には具体的にどんな種類のものがあるのか。金利はどのようにして決まるのか。円安、円高とは何か。
またそれによって世界と日本の経済にいどのような影響を与えるのか。日本は世界とどのような歴史をたどり今に至るのか。
第4章は金融をつかさどる当局。中央銀行といわれる日本銀行の役割や金融政策について詳しく解説されています。
なぜ日本のバブルがはじけたのか、その理由も簡単にまとめられています。またアメリカ、イギリス、ユーロ圏の中央銀行制度についても解説されており、
より広い視点で経済を学ぶことができます。経済の基本がわかるようになる本です。
第5章は「3つの危機」と国際金融の挑戦。2007年~2011年頃にかけて起こった比較的新しい世界的な金融危機について書かれています。
サブプライムローン、リーマンショック。聞いたことはあるけど、実際なんのことだか良くわからないという人も多いでしょう。
本書ではそのような人のために、要点をおさえてわかりやすく解説されています。そして、その危機を日本や世界はどのようにして切り抜けてきたのかについても知ることができます。
そして、グローバル化する世界での経済活動を円滑にするためどのような制度が採られており、今後どうなっていくのか。
経済の歴史とこれからの展望について書かれている章です。
第6章は金融の進む道。1~5章で見てきた金融市場について、これから先どのような道を進んでいくのか、専門家の意見を取り入れて考察しているまとめの章です。


金融政策の詳細を学ぶことができる


まず役に立ったのは、第4章2項の日銀の金融政策についての解説です。
現日銀総裁の黒田東彦氏が就任後早々の日銀政策決定会合で、量的・質的緩和を実施すると発言しました。2013年4月のことです。
2016年に1月にはマイナス金利を導入しています。
これらは異次元の政策であり、一部では「黒田バズーカだ!」と騒がれていました。
日銀の目的は「物価の安定」であり、そのためにさまざまは政策が行われています。
黒田総裁は物価上昇率2%を物価安定の目標に掲げました。
では、なぜ黒田総裁の政策は異次元だといわれ、これほどまでに世間を騒がせたのでしょうか。

ニュースでは政策を決定したという事実は伝えられましたが、その内容について詳しく解説されることはほとんどありません。
番組内で解説されていても、なんだか難しくてきちんと理解できた人は少なかったのではないでしょうか。
それは、そもそも日銀がいままでどのような政策をとってきたのかを知らないからです。
だから黒田総裁の政策が異次元だといわれたのか、いくら解説されてもピンと来ないのです。
本書では日銀がいままでどのような政策をとってきたのか、きちんと順を追って説明されています。
その上で、黒田総裁のとった量的・質的緩和政策、マイナス金利政策について詳しく述べられています。
ベースがあるから理解できるのです。
そして金利についての基本的な説明も、ニュースを理解する上で大変役立ちました。
2015年12月、FRBが利上げを発表した時も大きくニュースで取り上げられました。
テレビ報道では「アメリカが利上げを発表し、ドル円が円安に振れています」とアナウンサーが解説していました。
ニュース速報も出ていたと思います。もちろん新聞各社も大きく取り上げていました。
しかし、なぜアメリカが利上げをしたから円安に振れたのか。そこについては詳しく解説されていません。
新聞やニュースでは「基本がわかっているのが前提」で解説されることが多いです。
特に新聞はその傾向が強いです。難しい用語の場合は新聞でも解説がある時もありますが、それでも理解しきれません。
これもやはりベースが無いからです。基本的な知識があれば、一見難しく思えるようなニュースも簡単に理解することができます。

本書は金融を解説する本なので、政策について図表と経済を理解するに必要な専門用語を取り入れ解説されています。
日銀総裁が会見を行うと新聞一面に記事になるのはなぜか、またニュースで大きく扱われるのはなぜか。
アメリカが利上げをすると円安になるのはなぜか。
本書を読むことで理解することができます。
専門用語が使われていますが、これはあくまでも「経済を理解するに必要な」専門用語です。
ただ闇雲に小難しく書かれているわけではありません。
本書で使われている専門用語はニュースや新聞で頻繁に使われています。
マネタリーベース、マネーサプライ、介入、買いオペ、売りオペ、などなど。
これらの意味を理解することができますので、実際に新聞を読んだりニュースと見たときにより深く理解することができます。


金融や経済を学びたい人におすすめ

 

これから金融や経済について学びたい方には、ぜひおススメしたい1冊です。
基本がわかっていなくても、本書を繰り返し読むことで理解できるようになります。
本書は日本経済出版社が出していますので、信頼性があります。
また、長年現場を取材した記者によって書かれているので、要点をついてわかりやすく、かつ丁寧に書かれているのが本書の特徴です。
専門家の視点ではなく、いちジャーナリストとしての立場の方が書かれているので初心者にもわかりやすいのです。
だからといって砕けた文章で書かれているわけではありません。
難しい言葉を一切使わず図解で説明してある方がわかりやすい、という人には向きかないでしょう。
入門編ともいえる本ですが、基本的な用語や意味をさらっと知りたいという人ではなく、金融や経済についてしっかりと基本を学びたい人におススメします。
ニュースを理解するのに必要な専門用語も使われていますので、これ1冊をしっかり読み込めば理解することができます。
金融についての本はたくさん出版されていますが、ある特定の専門家によって書かれている本だと内容が偏ることがあります。
本書は専門家によって書かれたものではありませんので、偏り無く学ぶことができます。
また、金融や経済を基本に戻って学びたい人にもおススメします。
金融関係の本は何冊か読みましたが、説明が簡単すぎたり、省略されていたり、難しく書かれすぎていたりなど内容のバランスが悪いものが多いです。
そんな中、本書は基本に則って非常にバランスよく書かれています。
たいていは1冊読んだだけでは物足りず他の本を読むのですが、これだけ読めば基本的なことは問題ないです。
金融関係の本は何冊か読んで勉強してきたけれど、もう一度基本に戻って勉強するには、とても良い本です。
数冊の本にバラバラに書かれていたことが、この1冊にまとめて書かれています。理解もより深まり、いままでよりも金融や経済について詳しくなれます。

www.sankei.com

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金融入門〈第2版〉 (日経文庫)

金融入門〈第2版〉 (日経文庫)