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ビジネス関連書籍の紹介日記です

「スモールビジネス」成功のセオリー90! アメリカで活躍する日本人経営者に学ぶ 射手園達一

この本は、2003年に光文社から出版された本です。著者の射手園達一氏は、1965年に大学を卒業後、起業と失敗を繰り返し、1976年にアメリカンドリームを求めてアメリカに渡り、ついにビジネスでの成功を勝ち取った人物です。

この本は、著者の数度にわたる起業と失敗をもとに書かれました。そして、アメリカでスモールビジネスをたちあげたあと、どのような点に注意すれば成功にたどり着くことができるかを、綴ったものです。ビジネスモデルの作り方や資金繰りの管理だけでなく、雇用した社員やスタッフたちへの接し方にいたるまで、細かく書かれています。

まず、著者は、ビジネスを立ち上げた起業家に必要な要素として、立派なオフィスや設備など外見にお金をかけるのではなく、ビジネスに成功することに邁進することであると指摘しています。著者のアメリカでの起業経験を例に挙げ、アメリカで成功する起業家たちの多くが、最初は個人事業主として登録し、車は中古のバンを使用して営業を開始すると述べています。そして売上計上ができれば、そのお金で在庫商品を購入し、商品の保管や出荷は自宅のアパートもしくは自宅のガレージで行っていると指摘しています。成功者はビジネスの成功という一点に集中し、余分な固定費の支出をせず、1日中猛烈に働くのです。著者は、日本人の起業家が貪欲に持つべき素養として、行動力や競争力、気迫や個性、交渉力、お金を駆使する能力などを挙げています。これらの要素を身につければ、日本でも多くのベンチャー起業家が成功者として名乗りを挙げるだろうと述べているのです。
また、ビジネスモデルとしては、利益率を重視するよりも、回転率を重視したほうがビジネスの基盤を確立しやすいと指摘しています。具体的には、手元資金が5万円であっても、5万円の商品を仕入れて、それを7万円で販売する行為を30回転させると単純計算で利益が60万円となります。これだけ活発な販売活動を展開すると、固定客がつきますし、口コミで噂も広がります。このため、当初は薄利多売であっても、資金や在庫商品の回転率を重視したほうがビジネスは成功するのです。

さらに、起業する際には、単品ビジネスで、その商売にあった特殊なマーケットに参入すると、ビジネス基盤を確立しやすいとも述べています。売れ筋の単品商品は、時代とともに変化しますが、例えば健康食品や日常雑貨、ペット用品など多岐にわたります。それらのなかから、マーケットに参入しやすく、なおかつマーケットを拡大しやすい商品を選ぶことによって、ビジネス基盤を確立しやすいのだと著者は述べています。
他には、常に消費者の動向を注視することが重要であるとか、信用を積み重ねることがビジネス基盤の確立につながるなど、実際にスモールビジネスを何度も立ち上げては失敗し、ついに成功と勝ち取った著者の体験に基づく見識が披露されています。

投資をする企業の判断材料ともなりうる

私は、投資会社で資産運用の仕事をしています。そして、この本を読んだおかげで、上場企業の株式をファンドに組み入れる際、どの企業の株式を組み入れるべきかという判断基準を確立させることができました。

具体的には、特殊マーケットで独自の商品を扱っている企業という観点で、投資対象の企業を選ぶことができたのです。例えば、インターネット上におけるハッカー攻撃から、サイトを防御できるシステムを扱っている企業です。このような上場企業は日本国内ではきわめて少数であり、なおかつ調査をしてみると、今後中央官庁や地方自治体からの受注が急増する見込みが高いということが判明したのです。そのため、この企業の株式をファンドに組み入れたところ、実際に株価が上昇してくれたため大幅な利益を得ることができています。

また、私は投資をするさいには、企業訪問をして社長や財務担当の取締役と面談し、その会社のビジネスモデルや資金繰り、今後の業績見通しなどをヒアリングすることにしています。しかし、この本を読んだおかげで、企業訪問をしたさいには、ビジネスの内容や資金繰りだけでなく、オフィスの状況についてもチェックする癖を身につけることができました。つまり、売上高が20億円程度で経常利益が3億円規模の会社であるにもかかわらず、東京都心の一等地の新築オフィスビルに入居し、社長室が立派な個室となっているような企業は、将来性が危ぶまれるのではないかと判断できるようになったのです。

実際に、複数のベンチャー上場企業は上場直後から業績が悪化しはじめ、資金繰り難に陥ったのでした。もちろん株価は上場時をピークとし、その後10分の1程度まで株価が下落していったのでした。つまり、私たちが企業訪問をした頃が、業績のピークだったのです。この本を読んだおかげで、外見に資金を費やしたベンチャー企業に投資をせずに済んだのでした。

さらには、以前においては、すでに事業規模が巨大となり、これ以上は事業規模の成長は望めないのではないかと考えていたアメリカのネット企業にも、投資をする決断をすることができました。この企業は創業当初はインターネット上の書店としてビジネスをスタートさせたのですが、その後、あらゆる物品を格安な料金で販売するようになり、近年はついに映画やテレビドラマもサイト上で視聴できるサービスを開始したのです。つまり、この企業が独自のマーケットを作り上げ、他社の追随を許さないビジネスモデルを築きあげたのだと気がついたのでした。おかげで株価は上昇し続けており、ファンドの運用に好影響を与えてくれています。

これから起業を考えている人におすすめ

この本は、タイトル通り、これから起業をしたいと考えている人たちにお勧めしたい本です。起業を目指す人のなかには、自分の好きなことをビジネスにしたいと考え、自分の好きなときに仕事をして、自分と気の合う仲間と仕事をしたいと考えている人もいらっしゃると思います。
しかし、この本の著者は、ビジネスで成功するためには、行動力や競争力、気迫や個性、交渉力などを挙げているのです。スピード感や競争に打ち勝つハングリーさが重要なのです。この本を読めば、頭で考えるだけでなく、一心不乱になって働くことが起業を成功させる秘訣なのだと知らされます。

また、この本を読めば、資金繰り管理など経営面も学ぶことができます。著者は、起業したばかりのスモールビジネスにおいては、現金商売に徹すべきと述べています。どれほど良い相手であっても、当初の掛け売りは断ったほうが無難であると指摘しています。万が一、商品を買い逃げされるリスクがあるためです。また、相手が信用できる相手であっても、掛け売りの場合は入金まで1ヶ月以上空いてしまいます。このため資金繰りが窮屈になるリスクもあります。そのため創業当初は、現金商売に徹したほうが資金繰り面で安全だと気づかれます。

一方、この本は私のように投資や資産運用をビジネスとしている人にも、お勧めできます。投資対象とすべき企業を判断するための基準を与えてくれるのです。具体的には、非効率なビジネスモデルを構築してしまっていたり、ビジネスの損益分岐点が高いケースにおいては、その企業を投資対象から外すことができるようになります。そして、業績が伸びていく可能性の高いスモール企業とはどのような企業なのかを示してくれているため、資産運用において高いパフォーマンスを挙げることができるようになります。

 

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アメリカで活躍する日本人経営者に学ぶ「スモールビジネス」成功のセオリー90!

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