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ビジネス関連書籍の紹介日記です

新しい時代のお金の教科書 山口揚平

この本は山口揚平氏による「お金」がこれからどう変わるかについて書かれた本です。
お金について書かれた書籍というのは現在たくさん出版されていますが、
この本で語られるお金というのは、単に儲けて生活していくためのお金という概念を超えています。

私たちは現在富を得るために日々お金儲けにつとめ、社会が豊かになることを現代では目指しています。しかしこの本ではいずれそういった概念さえ変わり、最終的には「今のお金はなくなる」「時間がお金になる」というショッキングな未来について語られています。この本を読んだあと、お金についての考え方が大きく変わることとなりました。

 山口揚平氏は過去にダイエーやカネボウなど大型M&Aに関わってきた事業家です。
早稲田大学の経済学部を卒業し、東大の大学院を出て貨幣論や情報化社会論を
研究してきたもっぱら貨幣の専門家です。しかしそれに反し、この本ではやさしい語り口で「お金とはなんだろう?」「これからどうなっていくのか」を説明してくれます。
私たちがぼんやり知っていると思っていたお金について、高校生ぐらいの子でも分かるようやさしく1から解説してくれています。

もちろん話はお金の歴史解説だけにとどまりません。最近注目のビットコインなど仮想通貨が一体どういったものなのか。そしてどのような風に社会を変えていくのか。いまお金の世界には転換期がきていること。そしてもっとずっと先の未来では、仮想通貨さえ終焉を迎え、そもそも「現代でいうお金」というものさえ無くなり、
お金として流通していた価値が時間に連動していくのではないかという予想を立てています。

ここ数年後に普及していくであろう仮想通貨どころではありません。
相当な先の未来の金融社会にまで予想・言及しています。お金が時間に結び付けられて動くというのは、いかにも近未来的で突飛な見解のようにみえますが、山口揚平氏と過去から未来へ通して丁寧なのお金の変遷をともに辿ることで、読んでいるこちらも、なるほどそうなるのかなという思いが広がっていきます。

そもそもお金とはなにか。お金とは「価値」の代用である。
そのことを頭に入れて読み進めると、その価値がやりとりできればお金の流通とはそれでいいのだと知れば、今のように財布に入れて持ち歩くこと自体がこのIT時代にナンセンスだと気付かされます。
私たちは今ある技術に反し、実社会で利用しているものは遅れているんだと。

このごろはビットコインの利用価値の高さに大きく注目が集まっていますが、その仮想通貨が当たり前に使われるようになるであろう数年後の先、もっと先を見越したらどうなっていくのかという所までこの本では言及されています。

私たちはお金という機能に何を求めるのか。それぞれが富をかき集めるために儲けるのか。それとも社会全体の利便性向上為にお金というものを使うのか。あるいは誰もが平等に幸せを得られる社会の実現のためにお金を使うのか。私たち自身は一体どうしたいのか?お金というものの存在の大きさと可能性を知る重要な一冊だと思いました。


お金の概念を基礎から学べる

この本ではお金という概念についてしっかりと学べます。
そしてお金が私たちにとって一体どういう存在なのか。どのように使いこなしていくものなのかを知ることもできます。

今までなんとなく買い物や税の支払いに使っていたお金。そしてそこから一歩発展し、自分たちの生活の豊かさを得る為になるべく手元に増やそうとしてきたお金という存在。気がつけば自分たちが便利だから利用しようとしてきたお金という機能に、いつのまにか私たちの方が振り回されていたと気付かされます。

現代では世界で流通しているお金が、実際の世の中に存在する価値の4倍も膨らんでいるそうです。お金が裏付けがない状態で投資や投機に使われていることと、そんな危ういもので世界は今成り立っていること。そして私たちは、そんなあやふやで不安定な世界に立ってお金を使っていることを知ります。私たちは今使っているお金に「価値がある」と心のどこかで信じているから利用しているのですが、
本当にその信用の裏付けがあるのかどうか、本当は全く知らずに過ごしているということを思い知らされます。

私たちはお金があれば自由になり、やりたいことがいくらでもできる。好きで過ごせると信じています。そしてお金を儲けることに夢中になるのですが、この本を読むにつれ、お金についてのきちんとした概念や知識を得るとおのずとお金との付き合い方の視野が広がっていくように思います。お金は目的ではなく、使うための道具にすぎないのだということを知るのです。ただただ増やすことを目的にしてお金を稼ぐというのではなく、これからお金をどのように道具として使うか、あるいは自分のために利用するのかを学んでいきます。

 

そして将来のお金との付き合い方を知ることができます。読み進めるうちに、お金という概念は何もお札や硬貨である必要性が最早ないのだと分かってきます。今でもショッピングポイントや電子マネーの普及で、お金はお札や硬貨であるい必要性が徐々に薄れてきています。

そこで出てくるのが仮想通貨という概念で、価値が利用者全体の監視性になることで
誰かが管理する必要のない、コストのかからないお金の世界がみえてきます。今は投資や投機対象として価値が劇的に上がっている仮想通貨ですが、これがその域を抜けた時本来の意味でどういった役割を果たしていくのか、私たちに何をもたらすのかが分かってきます。

そしてさらに先には、人は物を所有したいと思う世界から社会的に認められたいという世界が訪れ、時間主義・記帳主義といったお金の流通しない世界へと未来が進んでいるのを知ることができます。ここまで来ると、私たちの知りうる感覚から離れていき途方もない先の話のようでした。けれど金融の最先端では今どんなふうに未来を考えられているのか。またどういった方向に向かって進めようとされているのかを、リアルな肌感覚で知ることができました。

金融に関わる人・投資をしている人は必読

まず、世の中のお金を使う全ての人に関わってくる内容だと思います。そして金融に関わる人・投資をしている人には必読だと思います。加えて社会人のすべての方ににオススメです。ビジネスを含めた大きな流れが、ちょうど今新しい世界に向かっていることを知ることができるでしょう。

仮想通貨でさえ今やっと少しづつ話題になりだして、一般的にはまだまだピンとこない状況です。けれどお金に関わることは、そのシステムを使いたい大手の企業や行政が取り入れさえすれば私たちはそのルールを徐々に受け入れてくしかありません。
そういったレールの先がどこに向かっていくのかを、投資をする人は見定めなければなりません。
そして金融に携わる人はその最先端を常に追うことになるでしょうし、
その全てが一般に浸透するにつれてビジネスとしても広がっていくのではないでしょうか。音楽でさえ昔はレコードやCDのように、手元にないとなんだかしっくりこないと思われていましたが、結局は今ではデータとして取り扱うだけになってきました。音楽だけでなく映像もです。

そして最近は電子マネーの扱いやすさに誰もが今では馴染んでいます。
新しい技術ができてすごいなあなんて言ってるうちに、あっという間に音楽業界は明暗が分かれてしまいました。

企業にとってはばかにならないものが印刷代や明細書です。それらも徐々にペーパーレスになり、オンライン化にシフトしています。お金の分野でも、これからお札や硬貨がなくなればそれを作る費用がかからずに済みます。その分のお金や労働力を他に使えるようになるとしたら、きっとどの国だってそのシステムを使いたいと思うのではないでしょうか。金融社会の転換期はがまさに今来ていることをこの本は教えてくれています。

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新しい時代のお金の教科書 (ちくまプリマー新書)

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