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ビジネス関連書籍の紹介日記です

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 佐藤航陽

経済には「資産経済」と「消費経済」があります。「資産経済」のほうはいわゆるお金でお金を生む経済活動のことで、投資など資本がないと参加できない領域のことです。対して「消費経済」はそれ相当の対価を払ってお金が流通する、一般人の関わっている経済のこと。実は、世の中のお金のうちで「消費経済」が占める割合など極めて低いのです。
これまで、資本を持つ人のみがお金を集められる時代でした。

筆者は、お金とは、つまるところ人間の承認欲求や、勝ちゲー(ゲームで勝利確定する寸前の状態)の時に分泌されるドーパミンを出す対象であったと解説しています。共産主義はこの、お金と人間の欲求が結びつく点を真っ向から否定したため衰退したのだと語っています。

 著者の生い立ちとこの本を執筆した理由


筆者は母子家庭の3人兄弟という、経済的困難は必須だったと思われる家庭に育っています。事実、家庭は困窮しており、筆者は経済的格差に抗うような気持ちで成長しました。幼少のころからの夢は弁護士でしたが、早稲田大学時代に方向転換しました。「お金のシステムを変えてやる仕事をしよう」と思い立ちます。凡人の発想ではないですが、この本には筆者の感じてきたお金の本質、今の金融の大転換時代にあって今後どういう経済が展開されるかをまとめています。
Fintechで始まったお金の民主化とその具体的事例
「お金は銀行に集まる」「信用は一元管理」「法定通貨以外は通貨たりえない」
こんな今までの金融の常識が、Fintech以降に崩れ始めているという事を訴えています。貨幣通貨や貨幣通貨に紐づいて語られるブロックチェーンについても解説しています。また中国やアメリカでのシェアリングエコノミーの動きや、大企業(Facebookなど)がSNSの時代に、コミュニティの1ネットワークから世界企業になった背景なども例として挙げています。博識な人だなと感心します。

価値主義の到来


これまではお金がないとアクションを起こせませんでしたが、今は貨幣通貨を投げ銭してもらったりクラウドファンディングがあったり、資本が無いものにも道がある時代になりました。
若い人や、インフラ未整備の中国がその担い手になっているのです。
資本を持つ人から価値を持つ人に、お金のベクトルが変わる時代になったそうです。
対して、国が一生懸命発行している法定通貨はどんどん余っていくそうです。

ベーシックインカム時代は必ず来る
この本を語る上でベーシックインカム論はさけて通れません。筆者は日本はベーシックインカムを将来実施すると語ります。
また。その方が国の文化も科学もテクノロジーも伸びると断言します。それを担うのがマークザッカーバーグや筆者のようなミレニアル世代であると語ります。
生活の為ではなく、目的のために働く時代を到来させたいと語る筆者です。"

お金は価値の対価あることを学んだ

この本を読み、これまでの資産経済は、排他的で一部の人しか参戦できない世界だったと理解できました。また、自分のお金に対する考えは旧型なのだなと思わされました。
現在の「お金の民主化」の時代に合って、「お金はもはや労働の対価ではない」という文言はいつも聞いてきました。「価値の対価」と変身すると。そういう世界を私も求めます。
筆者は、ベーシックインカムで全ての人が衣食住への不安から解き放たれるのが理想的であり、その方が文化は飛躍的に成長すると断言します。
これについては、私は懐疑的です。世の中皆、佐藤氏のように頭が良く視野の広い人間ならその通りかもしれませんが、一定数怠け者も出ますよね?そんな方たちにも衣食住の保証は与えてやって、より出来る人たちの発展に期待するということでしょうか。
この本で、これまで付き合ってきた法定通貨というお金が、国の都合で操作されたお金であり、一部の人が特権的に扱ってきたと学びました。
それに対してもっと多様な動きを後押しする通貨(仮想通貨など)が現れたことは良いことなのだろうと思ったのは確かです。

佐藤氏は、これまで「それってお金になる?」というフレーズが、たくさんのビジネスチャンスの芽を摘み取ってきたといいます。既存の物差しから見て、明らかにマネタイズ可能なビジネスモデルしか承認されなかったと語ります。
しかし、これからは従来のスクリーニングではアウトだったものも、価値を感じてくれる人によって富が集まってくる時代になるといいます。
私もそうなると思いました。
しかしそうなったら、慎重でアピール下手な日本人は、真っ先に不利な民族になってしまうのでは?という不安を感じました。富は循環するべきものですよね。こういう経済圏の登場で、第三国の優秀な若者たちの事業が共感を集めて支援され、世界のリーディングカンパニーになることはあり得るのではないでしょうか?
佐藤氏は「タイムバンク」という時間紹介所でスタートアップした(と思う)のですが、そこは個人の時間を売るところです。HPを見ると、株価のように○○さん? ?円と表示されているのです。

価値の乏しい人間には、あれは見てて辛い光景です。
本当に得意なことを持つ人間にならねば!と思わされます。
あとは、ガイドブック的役割もありました。トークンという言葉は知っていましたが、どういう風に使われるものなのか分かりませんでした。実は未だにピンとこないのですが、世界では法定通貨ではなくてトークンに乗り換えているんだよ、という事例が学べます。
日本では、Fintechといっても国家的なサポートはありませんが、エストニアみたいな仮想通貨を発行する国家もあるのかとびっくりしました。そういえば知人のIT企業の社長さんも、エストニアに行っておられました。仮想通貨先進国視察だったのですね。ユーロが悲惨なので新しい通貨で経済活動をするというわけですね。ギリシャのせいで。イギリスも抜けた貨幣ですから、こういう乗換があってもいいと思います。

 

お金について冷静に考えるべき人や起業家におすすめ

まず、仮想通貨に踊らされている人が読んだら良いのではないでしょうか。仕事柄ITのセミナーによく参加しますが、新し物好きの人たちが仮想通貨についてやたら騒いでいるのを見るとうんざりします。
お金2.0を見てから、堀江貴文のチャンネルにゲスト出演した佐藤氏の動画を見ました。2人で法定通貨の金余り、トークン経済、仮想通貨の盛り上がりについて語っているのです。びっくりした事があります。あの堀江貴文でも、イーサリアムをマイニングするのに1年かかってしまったと恥ずかしそうに言ってましたよ。
今は業者も増えて情報も流通して早いかもしれませんが、仮想通貨をやるのなら一度本書を読まれたらいいのではないでしょうか。経済の変遷の中になって、今黎明期というか、始まったばかりなことが分かります。
立ち位置を知ることにつながります。

あとは、起業家さんにおススメです。佐藤氏は博識です。企業をよく勉強して、CEOたちに敬意を払っていると感じました。成功した人たちの勝因を、冷静に分析できる人です。彼のような観察眼が持てるようになる一冊かもしれません。

実は、この本ちょっと難しくもあります。
まず用語が難しいです。
で、私はどうしたかというとアマゾンのレビューチェックしました。そしたら、「動画の方が断然わかりやすい」とあったため、佐藤氏が堀江貴文氏などに招待されているトークチャンネルを見てみました。
動画の威力はすごいです。話ことばだと、難解な内容も伝わってくるのはなぜでしょう。
いくつも視聴して感じたのは、佐藤氏が本当に前衛的な金融家(?)だということです。仮想通貨やベーシックインカムの未来を、なんでそんなに迷いなく断言できるの?と貴方も思うと思います。
本書に、佐藤氏が竹中平蔵氏と対談した下りが登場しますが、佐藤氏は将来、政府の金融顧問みたいなポジションにつくのではないか、とも思わされました。

komugi.jp

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

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