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レジリエンスは身につけられるか―個人差に応じた心のサポートのために 平野真理

レジリエンスとは、ストレスフルな出来事や状況の中でも潰れることなく適応し、精神的な傷つきから立ち直ることのできる個人の力です。人は誰でもストレスフルな出来事によって、精神的に傷つきながら生活しています。そのような状況の中でも、不適応に陥らず、うまくやり過ごせる人がいる。そこに焦点をあてたのがレジリエンスです。

レジリエンスは誰で身につけることができると言われています。この本は、レジリエンスという概念が生まれた背景、多様なレジリエンス要因の中でも資質的な要因と獲得的な要因があること、そしてこれら資質的・獲得的要因により傷つきからの立ち直り方・サポートの仕方に違いがあることが、研究結果に基づいてまとめてあります。

そして、これら研究結果から、個人差に応じた臨床心理的介入の方向性を示唆しています。これを読めば、個人のレジリエンスを高めるだけでなく、職場や見のまわりで困難な出来事に遭遇し、一時的に心理的落ち込みを感じている人へ適切な介入を行うことで、回復へと導くことができるのです。

レジリエンスの定義や要因は研究者によって多少異なりますが、著者は、レジリエンスの要因として、次の7つを挙げています。「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」。著者は、この7つの中には、資質的なものと獲得的なもの(後天的に獲得できるもの)があるのではないかと考えました。研究の結果、資質的要因には、「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」があり、獲得的要因には、「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」があることが分かりました。これらが分かったことで、資質的レジリエンスの低い人が後天的レジリエンスを高めるために必要なサポートのあり方を検討することができるようになりました。さらに、これら資質的・獲得的要因により、傷つきからの立ち直り方・サポートの仕方に違いがあることが分かりました。資質的要因が高い人は、積極的に問題に向き合う傾向が見られました。一方、資質的要因が低い人は、その場に留まる傾向が見られました。資質的要因が低い人の中でも、獲得的要因が高い人は、「教えてもらう」サポートを得ながら、積極的にコーピングを行っていました。し資質的・獲得的要因が低い人は、「聴いてもらう」サポートの人数が相対的に多かったです。これらことから、資質的要因も獲得的要因も低い人々に対して、始めから積極的コーピングを促すような介入をするよりも、まずは「聞いてもらう」サポートの中で、徐々に「教えてもらう」サポートを求めていけることを目指す段階が必要なのではないかと思われると著者は述べています。

 レジリエンスという概念とその仕組みを学べる

まずは、心理的回復というのに、レジリエンスという概念があること、その仕組みを知っておくことで、これは誰にでもおこることであることと、そこには、適した対処方法があるのだということが分かります。本の中には、臨床心理的サポートをしていくための過程と、レジリエンスを測定する尺度・質問紙が添付されています。これを活用することにより、自己が困難な出来事に遭遇した時の対処も、そして身の回りの人がそのような出来事に出会った時の対応を考えることができます。

サポートは以下の段階を追っておこないます。
1.個人の持つ資質的要因のアセスメント
これは、添付している質問紙を活用することによって出来ます。自己採点表や各年代の得点が参考データとして載っていますので、自己の得点と比較してみるのも良いでしょう。これにより、個人の強みもわかります。
2.「強み」を活かすサポートの提供
上記にも述べたように、資質的・獲得的要因により傷つきからの立ち直り方・サポートの仕方に違いがあることが分かっています。資質的要因をきちんと見極めて、それを強化してくことで、本人が今後、自分の強みを生かしながら問題に取り組んでいくことができるようになります。
3.資質的要因の少ない人への「教えてもらう」サポートの提供
他者のサポートを得ながら、問題に取り組み、成功した体験が積み重なって、後天的レジリエンスを高めていくことができます。

心に留めておかなくてはならないのは、あくまで個人差があるということ。そして、これは個人の特性であって、資質的・獲得的要因が低い人が悪いというものではないということです。人には個性というものがあり、その個性に合わせた方法・環境があれば、どんな人でも活躍できる、そんなことを教えてくれる本でもあります。
そして、レジリエンス尺度を使用し、評価してみると、レジリエンスの7つの要因のどこに強みがあるのか、どこが弱いのかも知ることができます。これは、自己成長へとつなげていくためには、かなり有力な情報だと思われます。完璧な人はいません。7つ全てが高得点の人は、ほぼいないでしょう。
心理的な落ち込み・ストレスは、ネガティブライフイベントと言って、なんでもない日常生活の中にも潜んでいますが、このレジリエンスの概念は、組織が危機にさらされた時、地震や災害などに出会った時など、多種多様なストレスフルな出来事で発揮される力です。
この概念をしっておくだけで、自己の心身の健康維持ができます。

 管理職の方におすすめの一冊

我々は、仕事を続けていく中で、いくつになっても新しい役割や新規の事業など、沢山のストレスにみまわれます。中には、バーンアウトして離職してく職員もいますね。管理職は、このようなことがないよう、個人に適した仕事の分配やメンタルケア等々、多方面で対策をとっていると思います。その一つとして、社員個人のレジリエンスの傾向を知っておくことにより、職場としてのサポートの仕方「教えてもらう」「聴いてもらう」を考えることができます。

そして、レジリエンスのよいところは、このようなサポートを繰り返す中で、個人のレジリエンスを高めることができる点です。本書の中には、レジリエンスを評価できる質問紙が載っています。これを用いれば、個人のレジリエンスの傾向を把握することができます。是非、管理職の皆様には、このような指標も活用してもらいながら、個人を大切にしながら職業人として育成して示唆が得られればと思います。また、個々のビジネスマンは、自己の傾向を知っておくことにより、自己に適した対処方法が考えられます。

そして個人のレジリエンスを高める方法が載っていますので、是非、折れることなくビジネスマンとして成長していけることを願っています。特に、困難な出来事に出会った時、心理的回復からへの立ち直りが困難だと感じている方は、この本を読んで、自己のレジリエンスの傾向を知り、自己にあったサポートを求め、活用し、自己のレジリエンスを高めていって欲しいと思います。

www.lifehacker.jp

レジリエンスは身につけられるか:個人差に応じた心のサポートのために

レジリエンスは身につけられるか:個人差に応じた心のサポートのために