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ビジネス関連書籍の紹介日記です

プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中「決まる!」7つの交渉術 藤井一郎

交渉術についてのロングセラー本。日本トップクラスの成約数を誇る、M&Aアドバイザーが書いた今日から使える「ビジネス交渉」の極意と技法を7章構成で解説している本です。
グローバル展開が加速されている中、英語を公用語とする日本企業も増えてきています。しかし、グローバルに事業展開していくには、語学力だけでは不十分です。
今後のビジネス界で生きていくためには「交渉スキル」がますます重要になってくるでしょう。
しかしながら、多くのビジネスパーソンが交渉スキルの重要性を認識しているにもかかわらず、誰も交渉について教えてくれる人がいないのが現状です。

 会社の研修でも交渉については教えません。また、社内で交渉の達人と呼ばれている人も、それぞれが自己流でやっていることが多いのです。その結果、多くの人が交渉を誤解してしまっています。
その大半が「強気で押し通す交渉」や「お互い譲歩して落としどころを見つけ、それぞれがそこそこ満足する交渉」の仕方であると考えている方が多いです。
しかし、前者ではまともな交渉者としてはみなされず、後者では平均を下回る成果しか残せないでしょう。

この本では、まずそもそも「交渉」とは何なのか。「交渉力」とは何をもって交渉力と呼ぶか。といった基礎的なところから学ぶことができます。
まず、この本では交渉の定義を定めています。
交渉上手になるためにはその定義を理解した上で、コミュニケーションを磨くことを進めています。交渉相手が国家であっても会社であっても、相手は人間であることにかわりありません。

そのため、交渉上手になるためには人間に対する深い理解が必ず必要になります。
そこで、次に交渉力を決める7要素があげられます。
交渉力とは、強気で交渉できること。つまり譲歩する必要がない状態であるとこの本では書かれています。そして、そのために必要な要素が7つに分けられ詳しく説明されています。
そしてまた、「交渉とは相手と対等でなければならない」という考え方をこの本では現実的ではないと論じています。交渉では、どちらか一方の交渉力が強いということがほとんどで、なかなか対等な交渉がのぞめません。また、交渉は対等である必要もないと述べています。

筆者が考えている交渉とは「交渉は対等でなくても相手を尊重すべき」というものです。
お互い主張すべきところは主張しつつも、相手の立場・利害に理解を示すこと。そして、交渉の成立・不成立にかかわらず誠実に相手に対応することによって、信頼感を生み出し「よい交渉」を行うことを勧め、そのために必要な事柄が書かれています。

交渉相手との信頼関係を築く事が大切

交渉相手を信頼関係を築く6つの方法。良い交渉とは、交渉で取り決めた合意事項が問題なく履行されることです。
場合によっては、合意に達したとしてもそのプロセス内で互いに不信感が生まれ、トラブルが発生するケースがあります。
いわゆる「詰めが甘い」取り決めや「問題を先送りにする」交渉などもトラブルが生じる原因となります。
こういったケースでは、往々にして「損失が出た場合の取り決めをしていない」場合が多くあります。

損失が出た際に、責任のなすりつけあいになり信頼関係が失われるのです。
そのため、事前にその場合の取り決めを行っていく。そういったプロセスの中で信頼感が生まれ、ドラブルなく取り決めた事項が履行されていく交渉がよい交渉である。と筆者は述べています。そして、本書の中でそのために必要な6つの方法が詳しく説明されています。
また、相手に信頼される交渉を説明している中で、交渉してはいけない相手の事例も紹介されています。
そして、それを逆手にとり「交渉したくない相手」にその方法を使うことによってわざと相手側に交渉してはいけない相手だと思わせるという手段も用いられているという内容は、非常に勉強になります。
また、この本での交渉術の多くには心理学が用いられています。
とくに、社会心理学や行動経済学の知見が交渉や対人折衝で非常に役に立つとして紹介されています。
その中で使用される「相手からイエスを引き出す6つの武器」としてチャルディーにの法則。そして、この法則と並んで行動経済学の知見が大切です。

行動経済学とは、心理学と経済学をミックスした学問です。時に不合理とも思える人間の行動は無規則に起こるわけではないことが、この行動経済学の法則を学ぶことにより知ることができます。そのなかから、交渉術に必要な要素が簡潔に説明されています。
また、交渉の中では自分の感情をコントロールすることが求められます。交渉とは、論理だけで決まるものだがなく、最後はお互いが感情的に納得できるかどうかで決まります。
そのため、いかに自分の感情を理解し、それをコントロールして交渉に生かせるかについての大切さが述べられています。
交渉の中で、本当に自分が正しく、相手が間違っているのか見つめ直すには。
相手に批判された時の考え方。失敗したときの考え方。などが著者の経験や様々なビジネスパーソンの著作から紹介されています。

そして、著書は最後に結果のみにこだわると人は幸せになれないと語っています。なぜなら、いくら努力しても、究極的には人は結果をコントロールすることができないからです
自分がコントロールできないことに執着すると、結果によって喜んだり挫折感を味わうことになります。
「相手の行動を100パーセントコントロールすることは不可能」であり「自分がコントロールできるのはプロセスである」
コントロールできないものに執着せず、自分が何を考え、何を話し、どのように行動するかという自分がコントロールできるものに集中することで、仮に失敗したとしてもその過程で学べた事柄を次につなげることができます。

結果に一喜一憂せず、一回の交渉でいくら損をしても人生全体の幸福にはほとんど影響を与えないというスタンスで、プロセスを楽しみ、充実感を得ることが幸せな交渉者になるために、また幸せな人生を送るために最も大切なことである。と語る著者のスタンスに、学ぶことのできるものは多いでしょう。

営業職など交渉が必要なポジションにいる方におすすめ

企業の営業職などで交渉力を身に着けたいと思っている方やフリーランスで仕事の交渉を自ら行う必要のある方、他にもフリマアプリで副業をされている方。副業などで買い取り交渉や販売での交渉が必要になる方などにおすすめです。
昨今、手軽にアプリなどで値下げ交渉やお仕事の交渉ができる時代になっています。そのため、大なり小なり「交渉」という事柄に関わっている人は多いのではないでしょうか?
この本は、グローバル展開している会社の社員のみならず、日常的な側面でも汎用性が高いです。
トラブルなく契約事を進めたい。契約を取りたい。値下げ交渉をしたい・された時はどのように行動すればよいのか。そういった悩みを、この本のメソッドを勉強することで学ぶことができます。
また、参考文献の中には、古くから支持されているビジネス書が多数使用されています。
その中から交渉にかかわる必要なメソッドが効率的にピックアップされ、著者の説明と共に紹介されているので行動経済学や他のビジネス書の良書を探したい時の参考にもなります。
実際にこの本の内容をすべて実行するには、実践が必要になるでしょう。幾度、本を読んでも実践をこなさなければ実力はつきません。
これから交渉術の腕を上げたいと思っている方は、ぜひこの本を基本の教科書として学び。実践し、そして、その経験から得た成功や失敗を再びこの本を照らし合わせながら振り返り、少しずつ交渉力をつけていくことをおすすめいたします。

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プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中―「決まる!」7つの交渉術

プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中―「決まる!」7つの交渉術