ビジネス書籍ユーザーレビュー

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革命のファンファーレ 現代のお金と広告 西野亮廣

本書は、『キングコング』というお笑いコンビの1人である西野亮廣氏が書いたビジネス本だ。『えんとつ町のプペル』という絵本を描いて30万部以上のメガヒットを生み出し、インターネット上で寄付を募集するクラウドファンディングでは通算1億円以上を集めた実績も持つ人物である。吉本興業1,2を争う速さでスピード出世し、25歳で連日連夜テレビ番組に引っ張りだこの人気芸能人となった。

 しかし、「人気はあるかもしれないがスターにはなれていない」と思い、違う道を志すことに。タモリに「絵を描け」と言われたことがきっかけで絵本作家になり、プロの絵本作家に勝てる要素は時間しかないとの理由から、文房具屋さんで1番細いボールペンを購入。毎作3年前後の年月を費やし、1万部で大ヒットと言われる絵本業界で、1作目も2作目も3万部を記録した。しかし、「ウォルト・ディズニーを倒す」という野望がある西野氏。吉本興業の同期がテレビ出演するようになり、一方で自分はテレビには出ない選択をして絵本を描く日々。「自分はオワコン(終わったコンテンツ)になっていないか」と思い悩む。「良い作品を生み出せば勝手に売れる」という考えは育児放棄だと思い、販売までデザインすることを作品づくりとした。お金や流通についても勉強を始め、クラウドファンディングに挑戦したり、絵本の無料公開を試みたりと、様々な実験を繰り返して今に至る。そんな人物が書いたこれまでのまとめが本書『革命のファンファーレ』である。

内容は、副題の通り「現代のお金と広告」について。「お金は信用を数値化したもの」として、クラウドファンディングの勝ち方を始め、お金に関する内容に溢れている。本書の表紙は真っ赤なのだが、これも「現代のお金と広告」の一環で、「インスタ映え(インスタグラムでの見栄え)」を意識したデザインである。本文の途中に出てくる名言ページも、インスタグラムが正方形であることを意識したデザインとなっていて、正方形で写真撮影すると綺麗に収まるように、わざと下の部分の余白を大きくしている。実際に「#革命のファンファーレ」でインスタグラム内をハッシュタグ検索してみると、3,800件以上もヒットする。真っ赤な表紙の写真がずらりと並び、ときどき名言の写真が現れる。こうした人間心理を分析した小さな積み重ねが、本書を初版7万部まで押し上げている。

 

一方で、Amazonには批判的なレビュー記事も散見され、「ホリエモンと言っていることは同じ」や「マルクスのころから言われていた話」とも書かれてあった。ビジネス書を普段から読んでいて、その内容が頭に入って実践もできて成果も出せている人には「何を今さら」という感覚なのかもしれない。だが、そもそもこの手の本を読んだことがない人にはきっかけとなっただろうし、ビジネス書を読んでも実践できない・成果が出ないといった人には復習や再挑戦の機会となったかもしれない。西野氏の成功談も失敗談も豊富な本書から勇気をもらって行動につなげてほしい。

お金とは信用を数値化したものである

「お金は信用を数値化したもの」という点が最大の学びだ。自分も含め、「お金がほしい」と思っている人は数多くいると思う。だが、そのために実践し、そして実現させることは簡単ではない。「人が時間を割いて、その場に足を運ぶ動機は、いつだって『確認作業』で、つまりネタバレしているモノにしか反応していない」とも書かれてあるが、ネタバレ=買わないと恐れていてはいけないそうだ。本屋の立ち読みも、パラパラと読んでみておもしろければ購入につながる可能性があるが、禁止にしてしまえばその芽はなくなる。

たとえば、音楽のCDもそうだ。最近はYouTubeでミュージックビデオとともに曲を聴くことができることが増えた。関係者以外が勝手にアップロードするのは違法だが、YouTubeで視聴できたことが結果的にレンタルや購入につながったり、ファンになってライブやコンサートに行き、グッズまで購入する。この経験は私も何度かある。中学生や高校生のときに、友達からCDを借りたのがきっかけで自分もファンになった話と似ている。「入り口でお金を取るな。マネタイズのタイミングを後ろにズラして、可能性を増やせ。」の通り、立ち読みや視聴を無料体験として先に提供し、ライブやコンサートやグッズであったり、AKB48の握手会のような新たな付加価値を生み出すことで、結果的にマネタイズの総額を増やすことができるのである。

お金=信用であることが1番の学びであるが、自分の仕事に役立てることができた。私は大学卒業と同時に自営業を始めたが、お金を稼ぐのは苦手で下手だ。本やネットの記事で勉強しつつ、現場で試行錯誤しているが、なかなか上手くいかない。今回の実践は、無料と有料の使い分けを変えてみた。インターネットサービスやアプリを参考に、最初は原則無料で利用できるようにしていたため、お客さんが多かった。2年後に、そろそろマネタイズして回収しようと有料化したところ、客数は減ったが客単価が上がったおかげで、1年ほどは金銭的に楽になった。しかし、客単価の上昇がストップ。一方で、最初から有料となると新規も増えにくい状況となり、それが徐々に「客が少ない」という雰囲気にもつながったしまった。その結果、客単価も下がり、売り上げも減少傾向に。本書の学びをこの経験に当てはめると、マネタイズのタイミングを後ろから前へと逆方向にズラしてしまい、入り口でお金を取ってしまったことが原因なのかもしれないと思った。本屋での立ち読みやYouTubeでの視聴のような、確認作業をゼロにしてしまったのはやりすぎだったのかと猛省した。口コミも信頼強化に役立つが、あくまでその時点では本人は未体験だ。口コミを聞いた後に確認作業までできると、そこで信用はさらに高まる。マネタイズを焦って、早くお金を手に入れようとすると、結果的に信頼が高まりにくくなり、得られるお金の総額も減ってしまう。これを教訓に、今後は無料と有料の使い分けを図りたい。

お金に興味・関心のある人は必読

本書は、お金に関心がある人にはぜひとも読んでいただきたい。もっと言うと、お金がほしいけど上手くいっていない人にだ。私は、数年前まで「お金なんてなくても生きていける」と思っていた。今でも思わなくはないが、「ないよりはあった方が良い」という気持ちが強くなった。家賃も水光熱費も通信費も食費も交際費もかからない生活ができて、それで心底満足なら良いが、生活全部を無料化するのはかなり難しいし、お金がかかる行為をすべて避けて生きるのは私にとって楽しくなさすぎると気づいた。であれば、お金をコントロールできる力も、ないよりはあった方が人生や生活を楽しみやすい。しかし、勤め人として給料をもらう働き方の人がほとんどだし、私のように自営業だがお金を稼ぐのが苦手で下手という人もいるだろう。

 

そんな人が、今よりちょっとでもお金に対する考え方が変わり、行動も変わって成果も変われば、お金を言い訳にしてできなかったこともできるようになるし、金銭面に余裕が出れば精神面にも余裕が出るかもしれない。「現代のお金と広告」という副題の通り、「今はこういうツールが整っているから、こういう考えでこう行動すれば、お金についての悩みが解決されるよ」という旨を述べてある。「芸能人だから」とか「絵が上手かったから」と言って閉ざすことは簡単だが、本当にそれで良いのか。これまで努力してきたけど実らなかった人には、「お金は信用を数値化したもの」という一節だけでも心に留めてもらいたい。「今やろうとしていることは信用を上げるか?下げるか?」、行動する度に毎回これを考えるようになれれば、それだけでも読んだ価値はある。

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革命のファンファーレ 現代のお金と広告

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