ビジネス書籍ユーザーレビュー

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道をひらく 松下幸之助

9歳から奉公に出て、たった1代で松下グループを築き上げた「経営の神様」松下幸之助の書籍の中では最も知られている本です。
PHPという雑誌の中につづられたエッセイをまとめている1冊。そんなこともあり短編ばかりですが、非常に凝縮してかつ、かざりがなく、さまざまなことをすっきりと整理し、目指すところをわかりやすく人々に分け与えてくれるような、清涼感のある文章が続いています。

 This is Konosuke Matsushita!という感じの、氏の考え方、取り組み方などについて網羅的に知ることができます。

終戦後1946年11月に創設された雑誌PHPを発行する「PHP研究所」の創業者は松下幸之助と松下電器産業で、現在のパナソニック。名前の由来は、「Peace and Happiness through Prosperity」(繁栄によって平和と幸福を)。
「人生をより豊か、かつ楽しく充実したものとして生きることを目的に「生き方」とは何かを様々な身近な角度から検証する」を目的に掲げており、ちょうど松下電器が家電にとどまらず、各種のコンピューター製品などを多く手掛け始めた70年代から多数の出版物を手掛けるようになり、現在でもビジネス書などを中心に、多数のミリオンセラーを出す出版社です。

もちろんこの書籍を手に取る方の多くは、既に松下幸之助という人を良く知り、その活躍、努力や苦労、氏の成功、人を育ててその人たちもまた成功したことなど、経済家として、創造者として、そして啓蒙する人物として、国をひっぱる議員や財界人を育てる松下政経塾での活動の部分など、多くその人生や氏の名の下に行われた活動などをかさねあわせて読んでいるものです。

この本は、昭和43年の出版ですが、「素直に生きる」「心配またよし」など、なにげなく人が口にする心の持ちようを、あらためて解釈して人生への深い洞察をもとに随想としてつづっています。
企業や学術などでの成功を得た人たちが、この本に出会い、この本を「座右の書」としたことで、成功までの間に幾度も挫折やあらゆる危難にあたったが乗り越えることができたとして、多く良書として薦められている本でもあります。

我が家には、小さなころから便所の読書コーナーになぜか備え付けてあり幾度も読み返している本ですが、社会で非常に疲れたとき、さまざまな考え方の解釈に迷うとき、あらためて読み直すとすっきりできる本です。

ビジネスシーンだけなく人生のあらゆるシーンに役立つ

単なる経営に関することでもなく、またスピリチュアルなものでもなく、ただ、基本的に「人があらゆる場面で遭遇し、解決したり、何かを感じたりするきっかけや状態」をキーに、それぞれをごくあたりまえに解釈し、どう対応するのか、どんな心の持ちようをすべきかを、おのずと人の心や意識の中に展開するような文体がとられています。各項の表題をひけば、それにそった文章が短編で展開しているもの。禅問答のようなものとたとえる人も多いようです。
また、雑にたとえるなら「悩みや感情に対して、積極的にではなく、その文字から励起させる自己の感情や意識を対応させるために役立つレシピブック」のようなものでしょうか?
全編通して読むにも良し、気になるところから断片的に読むのも良しといったあたりも、読みやすく、また読み返しやすい本です。

そのため、いずれのタイトルをとってもぎっしりと凝縮したコメントがたくさん。
「運命を切りひらくために」「困難にぶつかったときに」「自信を失ったときに」といった人生のあらゆる場面で、毎日の学業や仕事に悩んだ時にふと開いて、こころもちを前向きに向上させたいようなときに役立つものや、「事業をより よく伸ばすために」「仕事をより向上させるために」といったビジネスシーンですぐに役立つもの。

プロジェクトや事業で、あらゆる判断を行うべき立場になった時に非常にちからになってくれる「みずから決断を下すときに」などは、順を追って頭の中をすっきりとさせてくれます。

何よりも、この本の中で注目すべきなのは、日本語にあっての氏の言葉の選び方、つづり方など。

電球と電池の人として知られていた高度経済成長期の氏の、本当の心のありかたや、取り組み方そのものを知り、あやかりたい、あるいは真似たいと思っている多くの人が、到達できない語彙遣いは、本当に成功者となる人は、すべてにおいて鋭敏で優れているものだとあらためて実感させてくれます。
こうした文章そのモノの作りをあらためて幾度も噛みしめてみたくなって読み返す都度、さらにその考えに至る経緯を感じることもでき、「目標として読み始めた」ものが、いつのまにかその文章作りとスタイル全体のファンにまでさせてしまうという魅力的な本。

氏のビジネス書にも数多くの書籍がありますが、こうしたものを読み始めてから後に、あらためてこの本を読み直すと、さらに考えるところ、感じさせられるところが多くあります。

人の一生の中で文章を書く機会というのはいろいろありますが、常にこうしたスタイルを意識し、人に与える言葉の影響をしっかりと知ったうえで言葉を選び導いたり宣言すべきといったこと、「実用日本語のつづり方」まで教えられたような気になる本でもあります。

ビジネスマンはもちろん就職活動中の学生にもおすすめ

経営の神様の名著だけに、ビジネスマンなどはもちろん、就職活動などに際して必須で読んでおくべき本の中には必ず入っている「社会知識としてMUSTな日本の名著」ではあります。

一般のビジネス書として語られることが多いのですが、分野を超えて世代をこえた、こころの啓蒙書といった位置づけで、広い世代が読むことができるほどやさしい普遍的で解釈しやすいことばをつかってあらゆることが語られているため、それ以外、たとえば受験やスポーツなど、なにか自らのきめた道をめざしてがんばってる途上にある人、毎日のルーティンワークでめりはりが無いと感じているあらゆる仕事や作業者にとっても、この本は非常に役立ってくれるものと考えられます。

個人的には、通勤通学電車で、非常に混み合った中、片手で、短時間で読みやすい本としてもおすすめ。
非常に短い文章ながら、日本語に対して鋭敏になれるので、小論文などを控えた学生や受験生にとっても、できるだけ若い間に読んでおくべき本だと思います。
学業や受験の試験対策、仕事での試験対策などの合間に、会社での論文やマニュアルなど作成の日本語や、設計などで非常にあたまがいっぱいかつ、論理的に自分はなにかを考えて対応しているように思い込んでいながら、いまいっぽスッキリしないといったことはよくあるものですが、こうした清冽かつ鋭敏な文体に毎朝あたることで、自分の文章や口からつづられる言葉にたいして、矯正効果も与えてくれます。

あらゆる世代、あらゆる職業や属性の方にお勧めできます。

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