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60分でわかる! 機械学習&ディープラーニング 超入門 (60分でわかる! IT知識) (著)機械学習研究会

監修の安達氏は、自動車メーカー・コンサルティングファーム勤務を経て、データマイニング専門会社を設立。メーカーの生産・販売・物流データの解析や、小売・飲食店のPOSデータ分析、売上予測システムに20年以上携わってきたデータ分析のプロフェッショナルです。現在は株式会社ALBERTのデータ分析部部長で執行役員を務めています。

また、青木氏は北海道大学大学院にて数理統計の博士号を取得の後、大手電機メーカーの中央研究所でデータマイニングの研究に従事、現在は株式会社ALBERTのデータ分析部のセクションマネージャーです。購買データを用いた購買予測などを担当しています。

 最近はGoogle・Amazonなども積極的に取り入れている技術で注目度が高いのが、コンピュータによる機械学習です。ネット関連企業ばかりではありません。自動車分野でもすでに実用化されておなじみとなった自動運転技術・安全運転支援システムなどでも機械学習は利用されています。

本書は、このように様々なジャンルで活用されている機械学習についてわかりやすく解説しています。タイトルに「60分でわかる」とあるように159ページほどのハンディな書籍なので、気軽の読み始めることができます。そして、実際に企業の現場でのデータ分析の経験が長いエキスパートが監修しているので、わかりやすくても内容が薄いということはないのでご安心ください。

本書は5つのChapterから構成されています。

Chapter1は「今さら聞けない! 機械学習の基本」。機械学習の基本の仕組みから、得意・苦手分野などが記述されています。機械学習とともに語られることの多いAIやデータサイエンスとの違いなどもきちんと解説されています。これらは最近の新聞の経済・文化欄やビジネス書でも目にすることも多いので技術音痴な人にも心強いですね。

Chapter2は「未来の話じゃない! 実用される機械学習」。自動運転や難病治療・超高速のAI金融テクノロジーなど、様々なジャンルで機械学習が活用されている事例が紹介されています。

Chapter3は「そうだったのか! 機械学習のしくみ」。人間には見えなくてもコンピュータには見えてくるデータ相互間の関係などが解説されています。

Chapter4は「機械学習をビジネスに導入する」。コスト削減・ビジネスチャンスの拡大などの面で機械学習が果たす役割と可能性が述べられています。

Chapter5は「機械学習ビジネスの未来」。機械学習は企業だけでなく、農業や交通渋滞の解消や犯罪防止など公共的な分野でも可能性があることが指摘されています。

機械学習とはなにかまた機械学習におけるデータの重要性も学べる

本書では機械学習の重要性を実感することができます。機械学習・AIというとSF的で、遠い未来のこととイメージされる方も多いのではないでしょうか。しかし、機械学習は遠い未来のことでもなく、また一部のコンピュータ技術者のものでもないということがはっきりとわかります。

まず、機械学習とAIの違いは何でしょうか。AIが人間と同じように考え行動することを目指した汎用人工知能であるのに対して、機械学習はある特定の目的・機能に狙いを絞った特化型人工知能であるということです。機械学習はAIの一部だともいえます。

つまり本書では、機械学習とは「特定の事象のデータを解析して、その中から特徴やルールを学習し、判断や予測をおこなうテクノロジー」であると指摘しています。わかりやすい説明ですよね。

一方、機械学習とデータサイエンスは何が違うのでしょうか。データサイエンスの領域が「データ収集」・「管理」・「整理」・「分析&予測」であるのに対して、機械学習は「分析&予測」に特化したものです。つまり機械学習はデータサイエンスの一部でもあるんですね。機械学習は現代のデータ分析においては欠かせないばかりか最も重要な技術であるということが認識できます。

 機械学習におけるデータの重要性も指摘されています。目的にあったデータを収集することが分析・予測制度を高めることに必須であるため、どのような業種の企業であってもデータを取得する仕組みづくりが大切であると本書には述べられています。

 機械学習には2つの学習アプローチがあります。「教師あり学習」と「教師なし学習」です。

「教師あり学習」はいわば、正解のついた学習データでコンピュータが学習していくシンプルな方式です。人間と同じ回答を見つけ出すことが目標です。

 これに対して「教師なし学習」は正解がない状態で、データ同士の関係性をコンピュータが推論モデルを作りながら学習していきます。人間が気づかない未知の法則性を探りだすことが期待されています。

「教師あり学習」の場合、正解を人間が用意する必要がありますが、膨大な数のデータについて用意するとなると大変です。そこで、一部の正解だけを用意しておき、わからない場合だけ人間に聞くという「能動学習(アクティブラーニング)」で効率を高める工夫もされています。

本書は各項目が見開き2ページで説明されています。左ページが説明文となっていて、右ページが表やブロック図・イラストで説明文を補完しているので、項目ごとに理解しやすいのがうれしいですね。

理系の方だけなく文系の方にもおすすめできる本

メーカーやネット業界だけでなく、小売・流通・金融など多彩な分野で実用化され、今後も活用されるシーンが広まっていくと予想される機械学習なので、ビジネスにかかわるすべての人や学生におすすめできる本です。

企業では、Microsoft・Google・Amazonやみずほ銀行などで機械学習が活用されていますが、大企業ばかりでなく中小企業でも導入されています。

ちなみに、EY総合研究所は、人工知能関連の国内市場規模が2015年の約4兆円から2020年には約6倍の23兆円を超えると指摘しています。

 コンピュータのテクノロジーに関する本書ですが、コンピュータやプログラミングの知識は必要ありません。もちろん、数式なども出てこないので、生粋の文系人間の方でも安心して読めます。

このようなテーマで学者や研究者が著した本の場合は、技術的な詳細に立ち入った記述が多く、一般の人にはわかりにくくなりがちですが、本書の場合はコンピュータに詳しくない人でも興味をもって読み進めることができます。

Chapter4のコラムでは「個人でも始められる機械学習」が紹介されています。画像認識などの複雑な処理が必要なものを除いては、普通のパソコンで機械学習を始めることも可能です。

巻末には「機械学習注目企業リスト」として、機械学習を積極的にビジネスに活用している企業が40社紹介されています。ホームページのURLとともに、簡潔にポイントが説明されているのもうれしいサービスです。

www.kyamaneko.com

60分でわかる!  機械学習&ディープラーニング 超入門 (60分でわかる! IT知識)

60分でわかる! 機械学習&ディープラーニング 超入門 (60分でわかる! IT知識)

  • 作者: 機械学習研究会,株式会社ALBERT データ分析部安達章浩・青木健児
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2017/04/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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