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金投資の新しい教科書 池水 雄一

この本は、三井物産やスタンダードバンクで金投資のプロとして活躍してきた池水雄一氏が書いた、金投資に対する教科書のような本です。
(ちなみに池水雄一氏はこの本の他にも3冊本を書いていますが、その全てが金と貴金属に関する本です)
金というのはいったいどういうものなのか、そしてなぜ価値があるのか、どういう動機で人は金を買うのか、金の価値はどういう基準で決まるのか、
金にはどれだけの税金がかかるのか、といったことが一門一答形式でわかりやすく収められています。

 ここまで書けば勘のいい人はわかるでしょうが、この本は、こういう投資法をとれば勝てるとか、こうすれば相場の流れを見抜けるという、投資のテクニックを書いた本ではありません。金という貴金属、金投資に対するイロハが書かれている本なのです。

金に関する色々なことが書かれている本なので、具体的に何をすれば金に投資することができるのか、買った金はどうやって保管するのか、という金投資の基礎を学ぶことができますし、それ以外にも、どこの国が金をたくさんもっているのか、地球上にはあとどれだけの金が眠っているのかという、
雑学的な知識もありますので、金に投資する気がない人でも、読み物として楽しむことができるでしょう。

金投資の新しい教科書というだけのことはあり、この本を読めば金投資に対する基礎的な知識を網羅することができます。
ですが、この本は金の専門書ではないので、将来の金相場の展望とか、そういう投資家にとって役に立つことはあまり書かれていません。なので、すでに金投資のベテランであるような人は、この本を読む必要がないかもしれません。

こう書くと、あまりたいしたことは書いていない本だと取る人がいるでしょうが、別にそういうわけではありません。金というのはどうやって使われているのか、金の生産コストはどれくらいかかるのか、ということも書かれているので、この本を買えば、プラチナやダイヤと違って金が実用品ではないこと(つまり工業用に使われる金は少ないこと)、つまり役に立つから価値があるのではなく、ただ金であるというだけで価値がある、希少な金属であることや、生産コストが高いので、1オンス300ドルや600ドルの水準まで価格が下落することはない、ということを学ぶことができます。

基礎的ではあるけど、ビジネスや投資で役に立つ、金に関する知識がふんだんに詰まっている金の教科書、それが、金投資の新しい教科書なのです。

 

金投資と株投資の根本的な違いを学べる

私がこの本を読んで学べたことは、金投資と株投資はは根本的に違うということです。

株がなぜ価値があるのかというと、それはその株式を発行している企業が利益を生み出すからです。その利益を生み出す会社の株式だから、言い換えると役に立つ会社の株だから、株は値上がりしたり、配当という利益を生み出すことができるわけです。
だから、その会社が人々の役に立たなくなったら、その会社の株も存在価値をなくします。
それと比べると、金は何の役にも立たないものです。この本にも書いてあるように、金は工業製品などで使うことはあまりないので、特に何かの役に立つわけではありません。それなのに、金はその辺の会社の株式より高い値段で取引されています。
なぜなら、金はただそこにあるだけで価値がある、言い換えると通貨のようなものだからです。

金投資は株式投資のように儲けを期待する投資ではなく、インフレや財政破綻による通貨の消失(あるいは通貨の無価値化)から資産を守るための投資、つまり貯金のような投資であるということを、私はこの本から学びました。

この知識は、私が金投資をする上でも役に立っています。金投資を株式投資やFXの親戚だと思っていたら、金を安い局面で買い、高くなったら売るというスタイルを取っていたと思いますが、金投資は貯金のようなものということを学んだので、相場の高低に関係なく金を買い増すようになりました。

もし金投資をする際、相場を気にしていたら、私は金価格が暴落した時に狼狽売りすると思いますし、
(事実株投資をしていた時、何度も狼狽売りして損失を出したことがあります)
それで損を出していたら、金投資はたいして儲からないのに、これだけ損を出すならもう投資なんて辞めてしまおう、と考えていたでしょう。
ですが、金投資とはそういうもので、相場の下落など大して問題はないということを学んでいたので、
金相場の下落局面でも落ち着いて相場を見て、値段が下がろうがどうでもいいやと流すことができました、

もしこの本を読んでなくて、金投資というものに対し誤解があったままなら、私はそういう余裕の態度をとれなかったかもしれません。金投資の本質、金投資において、一時の相場下落などたいしたことはないこと、金は役に立つから価値があるのではなく、ただそこにあるだけで価値があること、これらのことを、私はこの本から学びました。
他にも、消費税と金との関係とか、金の最安値はいくらかなど、金に関する豆知識的なものも学ばせて頂きました。"

金投資をはじめてする人はもちろん金融知識を得たい人にもおすすめ

この本は、金というものをよく知らない人、金投資を株式投資や先物取引と同じような物として見ている人にお薦め出来る本です。
金投資の新しい教科書というだけのことはあり、余計なことやマニアックなことはあまり書かれていないので、まっさらな気持ちで金のことを学びたい人にお勧めです。
それ以外にも、金投資そのものに興味はないけど、ビジネスマンの一般常識として金取引に関する知識を得たい人も読むべきです。

これを読めば、ビジネスマンとしてひとつ成長することができるでしょう。

逆に、金投資のベテランや詳しい金の投資法を知りたい人にはあまりお勧めできません。この本には、金に関するマニアックな知識や、金投資の詳しい手法などが書かれているわけではないので、すでに金に対して相当の知識を持っている人、どういう取引手法をとれば具体的に効率よい取引ができるのかが知りたい人にとって、
新しく学べることはほとんどありません。
そういう人は、金に関する専門書か、投資テクニックが書かれた本を読んだ方がいいでしょう。

この本は金に対する初歩的な知識や簡単な投資知識をまとめた本になっていますので、
金の専門家が読んでも意味はありませんが、それ以外の人にとっては多くの人を学べる本です。
すてに株やFXに投資していて、次は金に投資したい人、将来どうなるかわからない日本円を安全資産である金に換えたい人、知識欲が豊富で、色々なことを知っておきたい人、どんなタイプの人でも多くのことを学ぶことができるので、少しでも金に興味があるならこの本は読んでおくべき1冊でしょう。

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金投資の新しい教科書

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