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ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家 ムハマド・ユヌス

これから紹介する本は「ムハマド・ユヌス自伝」です。この本はそのタイトルの通りムハメド・ユヌスという方の自伝ですが、知っている方も多いかと思います。もし、まだ知らない方はぜひ読んでみることをお勧めします。

実はムハマド・ユヌスさんはノーベル平和賞を受賞した経験があり、グラミン銀行という新しい形の銀行の創設者でもあります。この本の著者は自伝ですから、ムハメド・ユヌスさんが書いたものになります。小さくアラン・ジョリさんという方の名前がありましたが、アメリカのジャーナリスト兼作家の方のようでした。

このようにこの本はこのムハマド・ユヌスさんの生涯について書かれた本になるのですが、多くの人は積極的に読んでみようとはこの時点で思わないでしょう。なので、この本について具体的にどのようなことが書かれているのか以下に説明していきたいと思います。

まずムハマド・ユヌスさんは現在でこそノーベル平和賞受賞やグラミン銀行創設などで世界的にその影響力を強くしていますが、彼はもともとバングラデシュのチッタゴン県のソナポッティという小さな宝石商の町に生まれました。バングラデシュは世界的にもあまり先進的な国家ではないため、幼少期のユヌスさんはとても質素な生活をされていたことが分かります。

また、そうした環境の中でもユヌスさんはしっかり小中学と無償で授業を受けることができ、高校に入学し優秀な成績で学問を修めた優等生でした。お家はあまり裕福ではなかったのですが、ユヌスさんは高校時代に特待生として迎えられ、無償の奨学金を獲得し、チッタゴン大学に入りそこで経済学の学位を修めます。そこから彼の経済学に基づいた経営の試行が始まるのですが、この本では、そうしたバングラデシュの貧しい地域に生まれた少年が、世界的に、特に貧困に悩む土地の人々に対して平和をもたらしたお話でもあります。

こう聞くと、何だかありきたりのようで、まるでビジネスに関連がないように思うかもしれませんが、実はこの本にはビジネスにおいて大事なことが多く含まれており、生涯において大切な基本的なビジネスの姿勢というものを感じられると思います。

この本ではそうしたムハマド・ユヌスさんの銀行経営にまつわる話を中心として、金融の在り方や、実際に以前行ったビジネスプラン、失敗談を含めたかなり濃密な内容が詰まっています。

この本を読めば、私たちの暮らしが確実に恵まれていることがわかるでしょう。そして、きっと新しく何かを始めることに対しても積極的になれる自分がいるはずです。そのため、ぜひただの自伝だと思わず手に取ってみることをお勧めします。

著者の貧困問題の解決のエピソードから現実をしっかり受け止めることを学べる

この本のテーマは「貧困」です。私たちは普段生活している中であまり意識することはないかもしれません。あるいは、自分は貧乏だと思っている方も多くいるかと思います。

ですが、この本を読むとバングラデシュの多くの人々はその日暮らしのお金を得るために、足しにならないお金を得るため竹椅子などを作ることしかできません。さらに、その竹椅子の原材料を入手するための15セントを彼らは持っていないので、高利貸しから借りなくてはなりません。

そして売っても40セントにしかならない竹椅子をまた次の日も作って売り、高利貸しの高い利子の返済に追われる毎日が続くのです。ユヌスさんはかつて留学をし、アメリカで経済学博士号を取得し、地元のチッタゴン大学へ戻った時そうした現状を実際に目の当たりにしました。

そこで、彼はそこからグラミン銀行を創設するまでの間、マイクロクレジットを担保のない貧しい人にも利用できるように改革していくわけですが、私はそこから一つ学んだことがあります。ユヌスさんはもともと経済学を専攻した理由として、人々の暮らしをよりよくするために選んだと言っていました。そして経済学は人々の暮らしを豊かにしてくれると固く信じていたそうなのですが、実際に貧困の問題を目の当たりにしてそれが幻だということに気づいたようです。

そして、ここからユヌスさんがマイクロクレジットを始めるまでの間、世界銀行はそれら貧しい人達に対して何一つ行動を起こすことを諦めていました。この違いは何でしょうか。私はそこで少し考えてみましたが、それはすごくシンプルなことだと思いました。実際に行動を起こしたユヌスさんと、何もしてこなかった世界銀行の大きな差。それは危機感の有無です。

もっと簡単に言えば、臨場感があるかどうかです。実際にそのことを目の当たりにして、その事実をしっかりと目で見て、聞いて受け止めたからこそユヌスさんはやらなければいけないと思ったのではないでしょうか。そして、世界銀行のトップはおそらくそうした貧しい地域に自ら出向いて、その現状を現地の人に聞いてまわるようなことはしなかったのでしょう。

ユヌスさんは、その時大学教授でしたが決しておごりたかぶる様子なく、相手の警戒心をとこうと努力したようです。そしてなるべく多くの人から現状を聞きました。ここに実際に行動を起こした人と、机上の空論で終わらせる人間の違いを感じました。やはり、人は実際にその実情を深く知ろうと自らの目で、耳で体感することが大切なのだとその時に気づきました。

確かに、ユヌスさんが実行した貧しい担保のない人々へのマイクロクレジットというのは無謀なように思えるものですが、実際にそれを成功させたのですから、いかに世界銀行の机上の空論がまさしく空っぽの理論だったかが分かります。この本では、こうしたビジネスを始めようとする人に対して強い自信を持たせてくれる本だと思います。

彼は、小難しいことはせず、シンプルなちょっとしたアイデアでどんどんと自らの経営モデルを実行しています。この本を読んだ人は誰でも、やってやれないビジネスはないという可能性を感じさせてくれるでしょう。


金融業界に興味がある方だけなくビジネスをはじめたい方にもおすすめ

この本は銀行経営のお話が中心なので、金融業界に興味がある人には特におすすめなのですが、幅広いビジネスを始めたいと考える人にもおすすめです。

特に、この本ではビジネスの心得のようなこともユヌスさんの正直な人柄から正直に話されるので、読み終わったころにはきっと、胸に刻みたい言葉もあることでしょう。そしてやはり、金融系のお話なので、いくつかの海外の銀行の名前が本書ではあげられます。そして、実際にマイクロクレジットをどのように推進したのかといったビジネスモデルも紹介されるので、ビジネスモデルに興味がある人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

そして、世界銀行とユヌスさんとの関係がこの本では特に大きく取り上げられています。世界銀行について興味がある方は、この本を通して世界銀行の在り方というものがどういったものかも見えてくるかもしれません。この本はぜひ色々な方に読んで頂きたいですし、数あるビジネス書や自伝の中でも色々な方が勧められています。

確かに、自伝という形式ではあるので、すぐさまビジネスに関するノウハウや知識がほしいという方には少し物足りないと思うかもしれませんが、最後まで読んでみれば必ずその人にとって何かしらの形で胸に落とし込める部分があると思うので、一人の経営者の人生観を見たい方や、これからビジネスの最中にいる人、これからビジネスの世界へ足を踏み入れる人など、多くの人におすすめ出来るでしょう。

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ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

  • 作者: ムハマドユヌス,アランジョリ,Muhammad Yunus,Alan Jolis,猪熊弘子
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1998/10/01
  • メディア: 単行本
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