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どん底営業部が常勝軍団になるまで 藤本 篤志

どん底営業部が常勝軍団になるまで」は経営コンサルタントである藤本篤志氏が自身のコンサルタントとしての業務経験をストーリー形式にまとめた本で、部下を管理する経営者やマネジメント層のヒントとなる本です。藤本篤志氏はUSEN取締役、スタッフサービス・ホールディング取締役を経て独立、経営コンサルタントとして、営業実績が伸びない、部下のマネジメントが思うようにいかないといった悩みを抱えた経営者や管理職に、どのようにして実績を上げるのか、どうすれば人が辞めない組織を作ることができるのかの方法をセミナーやコンサルティングを通して伝えています。

同氏の著作には他にも「御社の営業がダメな理由」「営業部はバカなのか」など、営業部の業務改善を切り口としたビジネス本があります。

この本では、経営危機に陥った北海道にある生活協同組合が藤本氏の提案する手法を用いてどのように危機を脱したのかをストーリー形式で紹介しています。藤本氏の主催するセミナーに参加した生活協同組合の理事がセミナー後に相談を持ち掛けるところからストーリーは始まります。その後実際の現場への査察を通し営業部隊の問題点を発見。当初、実績が悪いのは現場の担当者の責任と高をくくっていた経営層や管理職のマネジメント方法そのものに問題があるということがわかります。その後藤本氏はマネジメント層に対して、改善案を提示。これまでは一か月に○○件の契約を取ってくるといった形でしか指示が出せなかった現場のやり方を「それではごく一部の人間しか結果を出せず、多くの営業マンはやる気を失うか辞めていくだけだ」と断言します。

一部の優秀な営業担当者の行動を分析し、「一日に○○件玄関のチャイムを鳴らす」「提案時に必ずこの資料を説明する」といった形での行動目標を課すようなマネジメント方法を提案しました。その結果これまでノルマを一切達成したことがなく、どれだけマネジメント層が叱咤激励してもモチベーションを上げなかったどん底営業部がノルマを達成し続ける最強の常勝軍団へと変貌を遂げます。

この本では必ず結果がついてくるとは限らない営業職のマネジメント手法として、「行動目標」というものを提示しています。部下に対して「目標数値に達していない」と毎朝叱咤激励するだけではこれから先は見えない、結果が出る営業の行動をつぶさに分析し、ノウハウを体系化していくことこそが重要であるということがこの本でも最も言いたいことと言えるでしょう。"

結果目標ではなく行動目標で管理する

やはり最も役に立ったことは部下を管理する際に「結果目標」ではなく、「行動目標」で管理するという点です。結果目標とは文字通り「一か月間の契約件数○件以上を獲得する」などといった結果の目標です。一方「行動目標」とは「一日○件の家のインターホンをおす」「一日○枚以上のポスティングを行う」といった行動の目標です。一般的なマネジメント層にありがちなのが「結果目標」が達成できなかったことに対して叱ること。部下の立場からしたら「頑張ってるのに怒られるのは理不尽」「結局どうすればいいかわからない」という感情を抱きやすく、結果的に担当者のモチベーション低下や早期離職に繋がってしまうという問題点があります。

このように結果で部下を管理するのではなく、具体的にやるべきことが示されている行動で部下を管理していくことで部下も「自分が叱られたのは行動目標をさぼっていたからだ」「これができるようになれば結果を上げることができる」といった具合に納得して業務に取り組むことができ、結果として、上司と部下のコミュニケーションが充実したり、早期離職を防いだりすることに繋がります。

ただし行動目標を設定する上で大切なのは「実際に結果を上げている営業担当者がどのような行動を取っているのか、成績優秀者ごとに共通点はあるのか」といったことをしっかり把握していく必要があるということです。そのために必要なこととして筆者は「成績優秀者への同行」を挙げています。というのも確かに成績優秀者にインタビューを行えば営業の秘訣のようなものは教えてもらえるかもしれませんが、それが必ずしも本当に結果を上げるための行動なのかはわかりません。

むしろ「どれだけ声かけをしたか」「どういう持ち物を持っているか」などといった優秀者本人が気づかないようなことに結果を出すために必要な行動が隠れているかもしれないのです。そのため、行動目標を作る際には、マネジメント層が必ず営業の現場に赴きその目で実際に見ることが必要と言えます。

私自身人事部で勤務しているのですが、営業担当者向けの研修資料を作成する際に非常に参考にしました。全国の成績優秀者のもとを訪れ、顧客との会話風景を録音したり、持ち物は何を持っているのかを調べることで結果を上げる営業担当者はどのような行動をとっているのかということがこれまでよりはっきりとしました。さらに調査の結果、望ましい行動をマニュアル化し、全国の営業マネジメント層に紹介することで「部下のマネジメントがしやすくなった」という声を多くもらうことができました。"

自分と現場との距離が近い経営者や管理職の方におすすめ

この本をおすすめしたい方は大きく2種類です。まず、経営者、中でも自分も現場との距離が近い中小企業の経営者は必ず読んでおいて欲しいです。というのも経営者となる人は基本的に能力が高い人が多いためです。

自分が現場で営業を行う場合は十分実績を挙げられていても、会社の規模が大きくなり、人を雇っていくにしたがってこれまでと同じような実績を挙げ続けるのが難しくなります。というのも自分が雇った部下は必ずしも経営者と能力が一致するわけではないからです。
会社規模が大きくなるにつれて業績に伸び悩みがみられる場合はまずどのような行動をとることが実績を挙げることに繋がるのか冷静に分析する意味でもこの本を読むことをお勧めします。次におすすめしたいのが大勢の部下を抱える管理職の方。昨今では若年者の早期離職などの問題が取りざたされていますが、その原因の多くが「人間関係の悩み」と言われています。

業績を挙げるだけでなく、部下の管理も任されている管理職の方にとっては無視できない問題ですよね。普段の行動を全く無視し結果だけに着目し、結果が出てなければ叱責を行うのはコミュニケーションとして健全とは言えません。コミュニケーションを円滑に行っていくためには日頃からわずかな時間でも会話を行うことです。

行動目標を設定し、日々それができているかどうか部下との会話を通してチェックしていくことで自然と会話をする機会も増え、健全なコミュニケ―ションを行うことができます。その結果として部署のモチベーションが上がり、業績もアップすることも夢ではありません。

このように経営者や管理職など多くの部下を率いる立場になった人はマネジメントのヒントとして是非一読することをおすすめします。

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どん底営業部が常勝軍団になるまで (新潮新書)

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