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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ 鈴木 博毅

慶応義塾大学を卒業し、経営戦略家、ビジネスマーケティングコンサルタントになるなどビジネス界で数多く活躍、更に現代に通じる孫子の兵法などのビジネス戦略の本を多数出版している鈴木 博毅氏が著書をしているのがビジネス書籍の中でもかなり衝撃的でかつ今を生きる人にも知ってもらって損の無いのがこの「「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ」です。

あの「失敗の本質」で話題になった野中郁次郎氏も推薦している本であり、タイトルの通りに旧日本軍の失敗とそして日本人の価値観や本質による組織としての失敗を詳しく解説しています。

 旧日本軍は精神的には米軍相手に負けず劣らず、一億総玉砕の覚悟で戦い、そして破れていったという特攻隊などでも知られているように悲しみと儚さを持ち合わせている部隊でした。
その旧日本軍は何故米軍に勝てなかったのかはかなりの人が研究し、そして今なお議論もされていますがその中には今でも通じビジネスの世界でも教訓にしたい失敗が沢山あります。
そんな旧日本軍の失敗から学べる事を23の組織的ジレンマとしてまとめたのがこの一冊になっているという訳です。

23という多くもなければかと言って少なくも無い失敗例を入門編という事で初心者や学生でも分かりやすいように書かれており、会社経営やビジネスにおける組織のあり方、日本人の陥りやすい集団の心理による破綻を比較しています。
入門編と言っても誰からも分かる話だけでなくよりそこから深い部分にも触れており、深くを知りたい人にも満足出来るようにもなっています。

会社と軍隊は組織的にはかなり似ている構造になっており、特に現代日本人は兵士とも揶揄されていたりします。
そんな現代日本人をどう効率良く動かしていけば失敗せすに済むのかというのも事細かに書かれてあり、経営者目線だけでなく中間管理職の目線や、平社員の目線からも読んでいて納得し、そして教訓にしていけるようにもなっています。
昔の人と今の人とでは知能から価値観まで多種多様で一概に比較は出来ないと思われていますが、この本では日本人の本質は変わらないし、国のあり方や組織のあり方も昔も今も同じと分かります。
タテ割り構造やワンマン経営、パワハラやセクハラと行った組織の弱者へ対する接し方やハラスメントの構造、その他現代の組織的な問題にも触れており、歴史的観点だけでなく社会派的な観点から読んでも為になるビジネス本です。
ページ数もそこまで多くなく毎日の通勤時間にサラリと手軽に読めるようにもなっています。


なぜ組織は腐敗してしまうかを学べる

本の中で役に立つ内容はやはり何故組織は腐敗していくのかという本質を本という客観的な観点から読める部分にあり、ほぼ全てが役に立ちます。
更にそこからここは現代社会にとってはかなり役立つと思われるのは組織のコミュニケーションの話でした。

日本人が主体となる組織ではコミュニケーションが一方的であり、上司あるいは上司に近い立場の人が音頭をとって部下へ絡むだけの事をコミュニケーションと考えています。
飲み会などもそうであり、飲み会も基本的には無礼講ではなく上から下への主張の押し付けを主としているのが多いです。

会社においてもそうであり、上司をおだてておけば自分の組織内の扱いも良くなると考える人や、実際にその人の会社における能力を見るのではなくその人の自分個人に対しての感情や能力を測る上司は沢山います。
そんな人ばかりを集めているといつかは組織も腐敗しますし、日本軍においても上司に逆らえずに部隊全滅という話はよくありました。
他にも部下や組織との信頼関係が無く、組織の情報を敵に漏らす部下も多かったようです。
この話の本質は部下の正論が上司に届きづらくなり、コミュニケーションが出来てない組織になると全滅したり部下が自分達を裏切り破滅するというのが起こりうるという事です。
それを客観視し、今まで日本人が主に行ってきたコミュニケーションの方法は大部分は間違いであると気付かされます。
部下と失敗しないコミュニケーションの取り方というのはよく分かるので、その点はかなり昔の価値観で生きている人にも役に立つ部分となっています。
他にも企画や作戦が失敗した時の組織としてのあり方などにも触れており、旧日本軍的な体質が今の組織にも蔓延っていてそれが社員や会社を追い込んでしまうというのもよく分かり、失敗をただ失敗したと片付ける日本軍と同じような行為をしないように出来るのでその点も役に立ちます。
よくある愛社精神も日本軍に例えるとかなりシャレにならない話になっており、会社の為に死ぬという選択肢も多い現代社会はかなり怖いものにも感じられます。
今の日本の会社組織のタテ割り構造も大企業病のような物も日本軍と比較して比べると本当にそっくりであり、そこを直していかないとやはり保守的で行動が重くなり決定に時間がかかる点などがライバル会社に遅れを取り負けるというのになるのも客観視出来て耳が痛くなります。
教訓にすべき事は本当にたくさんあり、読むとかなり身が引き締まります。


会社経営者や中間管理職の方におすすめの書籍

この本は特には会社を経営している人や、中間管理職の方に読んでほしい本です。
会社の経営はどうしたら失敗しないのか、組織をどう運営したら失敗を少なく出来るのかという話を23個もしているので、大いに役に立ちます。
やはり組織は上司が腐っているといくら平社員が立派でも無意味だというのが痛いほど分かりますし、実際にそれで腐った組織の例を出しているのでかなり信憑性と言いますか具体的すぎて怖いくらいです。

もちろん上司が立派で平社員が腐っているという時もあり、その結果平社員が暴走し破滅という展開もありますが、やはり確率では上司を良くしていく方法が確実です。
日本軍もリーダーや上司が腐っていて全滅する展開が多く、その結果の餓死や敵との衝突が多すぎでした。

平社員の方でも読んでいて耳が痛くなる話も多いですが、上司や会社経営者に読ませて組織改革を行ってほしいビジネス本ではあります。

他にも堅苦しいビジネス本はちょっと嫌だなと思う人にもおすすめであり、ただ今の日本組織と日本軍の比較を娯楽として楽しめるようにもなっている部分もあります。
歴史好きな方からしたらコミカルにも思えるかもしれません。

それだけでなく会社の組織だけでなく日本人が陥りやすい組織構造の話としても読めるので、例えば学校のクラス組織をもっと良くしたい先生や、会社や学校とは違う組織や集団に組していてそのリーダーになっている人にもおすすめです。
ビジネス本というよりも自己啓発や教養本にも近い中身になっている部分もありますし、一冊読んで損の無い本です。

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ