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残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 橘玲

今回、ぜひ読んでいただきたいオススメのビジネス本として、橘玲氏の『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を紹介してみたいと思います。
まず、著者である橘玲氏がどういう人物なのかという部分から取り上げていきましょう。
橘玲氏は投資や経済、金融という分野の著作を多数出版しており、日本経済新聞で連載を持っていた経験もある方です。
有名な作品ですと、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』や『マネーロンダリング入門』などがあります。海外投資を楽しむ会というグループの設立者の一人でもあり、そういったマネー界隈の分野ではかなりの有名人ではないでしょうか。

 そんな橘玲氏が書いた本作品は、簡単にいうと「この世にはびこる綺麗事を論理的・科学的にばっさり切り捨てる本」といえるのではないでしょうか。
目次に並ぶ項目を見ていっても、「親の愛情はいらない」「親しい友人はなにもしてくれない」「知能の70%は遺伝で決まる」など、身も蓋もないような言葉が並んでいます。

誰でも努力によって高い能力が得られる、誰もが幸せになることができるといった綺麗事を盲信する世の中の風潮に、ノーを突きつけるのが本作の趣旨といえるでしょう。
あとがきにも書いていることですが、橘玲氏は、人間みんなが努力によって成長し、より大きな成功を目指すことが正しい、という世間の自己啓発的風潮に対しての反発心から本作を執筆したようです。体裁の良い常識や、見た目の良い精神論などを、ズバっと斬ってくれる爽快感がこの本にあります。

しかし、ただ否定するだけではなく、能力のない者、貧困側、搾取される側に属する者たちにはどういった生き方や考え方があるのか、という点についてもしっかり説明しています。
橘玲氏らしい、データや根拠などを示したうえで論理的に説明される文章になっているので、考え方の相違などはあるでしょうが誰もが「そういう考え方もあるのか」と腑に落ちる体験ができるのではないかと思います。

救いのない残酷な真理が支配するこの世の中と、うまく付き合っていく方法を橘玲氏はこの作品で提示してくれているわけですね。
この生きにくい世界の中では、耳障りの良い優しい綺麗事の誘惑に負けてしまいそうになることは多々あることでしょう。
しかし、本作を読むことにより、この世の不公平で醜い真実をありのまま受け止め、その中での自分だけの生き方を模索する第一歩を踏み出すことができるようになるのではないでしょうか。

 世界の真理は残酷であるが、自分の居場所を見つけることは可能

この本から学ぶことができるのは、世界の真理というのはいつでも醜く残酷であること、しかしそんな世界の中でも自分の居場所は見つけることができる、ということだと思います。
一部の成功者は、当然のことながら努力によってその地位を得ているわけですが、世の中の全員がそうなれる可能性を持っているわけではなく、またそうなろうと思うこともできないほどに自分にコンプレックスを持っている人も少なからずいることでしょう。

そうした一般的に言われる「成功」への呪縛から逃れて、違う価値観の軸で生きる、という考え方がこの本では提示されています。
もちろん割と過激で乱暴な思想もところどころに書かれているため、読む人にとって好き嫌いや納得のいかなさというものはあると思います。
しかし、やはり頭の良い著者であることと、投資家らしいリスクリターンの考えに基づいた合理的な思考法であることから、どんな人でもハッとさせられる部分があるのはないでしょうか。

わかりやすい説明とデータによって、淡々と読み進めることができる文章ではありますが、漫然と文章を目の上に滑らせるだけという読み方では、おそらく橘玲氏の考え方の本質的な部分についてはいまいち掴めないことでしょう。
一気読みという感じで読むのではなく、気になった部分では立ち止まってみて、自分の考え方と擦り合わせながら読み進めていっていただきたいです。

本作を読む際には、この本全体を通して橘玲氏の思想を学び取るような読み方もいいですが、項目ごとの考えや意見について、一つ一つ独立させて別のものとして検討するといった読み方をするのも面白いでしょう。
どんなビジネス本を読む時にも言えることですが、筆者の文に表されている思想や意見について考えながら読むだけでなく、筆者がその考え方に至った経緯や思考経路をトレースしながら読むことが大事だと思います。

この本も、そのようないろんなアプローチから読んでみることによって、学べる部分も色々と人によって変わってくるのではないでしょうか。
本作を読んで少なからず感銘受けた方は、橘玲氏の他の著作にも手を出してみると、新たな発見があるのではないかと思います。

橘玲氏の著作には、本作以外にも秀逸な作品が多いので、ベストセラーになったものなどから読んでいってみていただけたら幸いです。
著者の言うことをただ受け入れるだけでなく、能動的に考えながら読書を楽しんでみてください。


凝り固まった価値観から脱却したい人におすすめ

おそらくこの本を手に取る人のほとんどが、この日本という国を、あるいはこの人間社会を、生きにくいものだと思っていることでしょう。
自分が成功者であると胸を張って言える人間は、この世のほんの一握りですし、社会の大半は搾取される側の層が占めているからです。

もちろん、努力によって上を目指そうという野心も、この世界を生き抜くための一つの原動力になり得ますが、みんながそうする必要はありません。
そんな、上へ上へ、を繰り返すことに疲れてしまったという人もいることでしょう。
そうした人たちに、ぜひこの『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を手にとっていただきたいものです。

この世は残酷で非情なものですが、そんな世界に絶望してしまうことのないよう、生きる指針を与えるのがこの本ではないでしょうか。

今の日本は非常に暗く閉塞的で陰湿な雰囲気が漂っています。
それは残酷な真実の前に、生きることに絶望したり自分の可能性を諦めてしまったりしている人があまりにも多いからではないかと思うのです。

この本は、就職できなければ落ちこぼれ、勉強できなければ落ちこぼれ、そんな凝り固まった考え方から脱却する特効薬になることでしょう。
そうした価値観から抜け出したいと思っている人、またそうした価値観が正しいと信じ込んでいる人にもこの本を読んでいただけたらと思います。
もしかしたら、今までの人生の価値観や信念を丸ごとひっくり返されるような、衝撃的な体験ができるかもしれません。

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残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法