ビジネス書籍ユーザーレビュー

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日本3.0 佐々木紀彦

こちらの本は、元東洋経済オンラインの名物編集長で、現在は、急成長中のNewsPicks(ニュース共有サービス)で編集長を務める佐々木紀彦氏が書いた作品です。佐々木氏は、私(35歳)と同年代ながら、東洋経済オンラインをビジネス系サイトのトップに押し上げた立役者で、ホリエモン氏や小泉進次郎氏など日本を語るうえでキーマンとなる人物と広く親交があります。

また、私が同ニュース共有サービスを読者兼ピッカーとして利用していることもあり、以前から佐々木氏に興味を持っており、読ませていただきました。

昨年頃から2020年頃にかけ、世の中のルールが大きく変わろうとしております。それは、IoTの普及によるモノのサービス化、ディープラーニングの登場によるAI技術の革新、ビッグデータの利活用、EVやコネクティッドカーの先にある自動走行、そして、これらのいわゆる第4次産業革命の実現による働き方や生活スタイルの変化などをもたらします。

また、日本では、人口減少と高齢化の進展により、イノベーションによる消費の活性化や生産性の向上ならびに女性の進出をはじめとした制度面の整備・改革を実行しなければ、経済規模が縮小する一方で現役世代の社会保障費負担が増加し続けてしまいます。

新しい時代の正解は、まだ分かりません。ただし、今日の延長線上に明日がないことは、明確です。筆者は、明治維新から敗戦までを「日本2.0」と位置づけておりますが、「日本2.0」においても、それまでのリーダーが失脚すると同時に、新世代がチャンスを得て、その中から世界的な企業がいくつも誕生しました。しかしながら、いま、日本は変革を起こすリーダーが限られております。かかる状況下、本書は、主に30代のビジネスパーソンが、新しい時代のリーダーとなるための指針となり得るものです。

まず、筆者が2020年頃に時代が変わるだとうと考える理由を説明するため、社会情勢、歴史、および世界における日本の位置づけを分かり易く解説します。ポイントは、冷戦後から続いたグローバル化の進展は、世界中の全ての人にとってプラスに働いていたわけではなく、そのメリットを享受できなかった人々が支持するかたちでトランプ氏が米国大統領選で勝利し、これから、米国の通商および外交等戦略が大きく変わるだろう点です。

また、日本では「失われた20年」との言葉をよく聞きますが、それでも大半の日本人が豊かな生活を維持できているのはそれまでの貯蓄によるものですが、2020年の東京オリンピックを機に、多くの団塊世代が引退するだろうことが予想され、また、その頃から東京でも人口減少が始まり、これまでのような豊かな暮らしは維持できなくなります。そして技術面では、既述の通り、第4次産業革命が起ころうとしております。

 教養をベースに思考法を学べる

次に、新しい時代において日本が置かれるだろう状況を解説します。ポイントは、人口減少社会であっても、サービスや製品のイノベーションにより労働生産性を上げることで、経済成長は持続可能であり、そのためには、日本として、他国と比べ未成熟な分野を成長させる必要があると説いております。具体的には、金融市場、労働市場および大学における高等教育です。また、日本は、インターネットの分野では米国企業に負け続けましたが、ロボットをはじめ“ものづくり”では現在も世界的に優位性があり、IoTの普及はチャンスとなり得ます。

そして、個人としての生き方を説明します。まず理解すべきは、諸説ありますが、2020年以降、AIやロボットの普及で現存するおよそ半分の仕事が人間の手から離れると言われていること、そして、みなが一定年齢まで平等に出世するシステムが崩壊しつつあることです。そのため、AIやロボットが普及した後も重宝される仕事(能力)を理解することが重要です。そのうえで、筆者が考える働き方のコースを4種類紹介します。

一言で表せば、普通の人で終わるか終わらないかとの話です。また、リーダーとして生きる道も複数種類ありますので、これを10種類に分けて説明しますが、本書では、実際に大企業やスタートアップで活躍中のリーダーについて、インタビューを通して分かった彼ら・彼女らの考え方のエッセンスを、具体的な企業名まで開示し、紹介しております。その大半が、80年生まれ以降の方です。

最後に、リーダーを目指す人が身につけるべきものについて、ページを割いて解説します。ここでは、日米エリートの差の主因を教養教育と断定し、教養教育の重要さや、米国エリートが教養を身につける方法について、具体的に紹介します。

教養がなければ世界を変えるイノベーションを起こすリーダーにはなれないとの意見は初めて目にしましたが、仕事などで教養の高い方とお会いした際にその方を尊敬している自分に気付かされ、筆者の考えを理解することができます。

本書は、前半だけ読むと、本のタイトルである「日本3.0」の捉え方に注意が集まり、内容の薄い書籍と考える読者もいると思いますが、読み進めて行くうちに、多くの日本のビジネスパーソンに欠如した歴史観や最新科学について、作者が非常に多くの専門書を読み、多くの専門家と面談して得た情報のうち、エッセンスのみを切り取って分かり易く伝えてくれることに気付きます。

私は、歴史小説も好んで読む方ですが、それでも、その知識をベースに世の中の動きを大局的に捉え、そこから世界の流れや日本の置かれた状況を理解する思考法が欠如していることを思い知ることができました。この本には、そのような思考法を養うために何をすべきかが、具体的に記されております。


自分からアクションを起こしたい方におすすめです

本作品は、主に20代から30代のビジネスパーソンのうち、次の方にお薦めの一冊です。

・第四次産業革命が起ころうとしている現在の状況下において、何かアクションを起こそうとしているものの、何をしたら良いか分からない方。
・現在所属する会社に満足してないものの、具体的に興味のある会社が他にある訳でもなく、毎日時間が過ぎていくことに焦りを感じている方。
・どの部署へ異動希望を出すべきか迷っている方。
・これまでのビジネスや海外留学の経験を通して身につけたスキルを活かして何か始めたいと考えている方。
・日本の将来に不安を感じており、その正体を具体的に理解したい方。
・人生設計に迷っている方。
・教養の身につけ方を知りたい方。
・応用の利く知識の身につけ方を知りたい方。

また、就職活動中ないし就職活動を控える大学生にとっても、例えば大企業とスタートアップの比較など、会社選びの基準となる参考情報が含まれております。

日本や世界の経済が、どのタイミングでどのように変化が起こり現在に至ったのか、そして今後、何が新たに生まれ何が衰退していくのか、その中で日本が世界でどのように位置づけられ、日本人として何ができるのか、といったことを自分の立場から考えるきっかけとなる情報が分かり易く丁寧に解説されてます。

また、これから起こるだろう変化や未来についてもっと学習したい方のために、著者が推奨する本が各章ごとに10冊ずつ紹介されておりますので、この情報も役立つと考えます。

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日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)

日本3.0 2020年の人生戦略 (幻冬舎単行本)