ビジネス書籍ユーザーレビュー

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チーズはどこへ消えた? スペンサー・ジョンソン

チーズはどこへ消えた?」は、アメリカ合衆国の医学博士で心理学者でもあるスペンサー・ジョンソン氏による全世界で累計2400万部を超える売り上げを記録したビジネス本です。

この本は、1998年にアメリカで出版され大ヒットを記録すると、その人気は瞬く間に世界中に広がり、やがて日本でも2000年に扶桑社から出版されて現在までに400万部も売れて続けるロングセラー本となっています。

 アップルコンピューターやメルセデスベンツ、IBMなどの数々の世界的に有名なトップ企業が社員教育に採用するなどビジネス本としての側面も強い本書ですが、本のデザインから文章の表現、内容に至るまでのあらゆる面においては童話そのものの構成になっていて、小さな子供にも親しみやすく理解しやすい作品となっています。また、この本は100ページにも満たない短いストーリーになっているのも特徴で、1~2時間程度で読む事ができ、普段忙しくてなかなか読書をする時間の無い人にも手軽に読める長さになっています。

この「チーズはどこへ消えた?」は内容を絶賛する声がある一方で批判的な声もあり、この作品への反論やパロディ的な要素を持つ類似タイトルの本もいくつか出版されていて、その中でも「バターはどこへ溶けた?」というディーン・リップルウッド氏が執筆した本は、本家とよく比較されるなど知名度の高いものになっています。

このお話には、迷路に住む二人の小人と二匹のねずみが登場し、小人のうちの一人の目線で物語は描かれていきます。ある日当たり前のように毎日食べていたチーズが目の前から消えてしまった事をきっかけに、ねずみは新しいチーズを探すためにその場を離れるのですが、小人はそのまま同じ場所で待っていればやがてチーズは手に入るだろうと考えて、何も行動を起こそうとしません。その結果、小人は何も得られずにただ空しく時間だけが過ぎていき、やっと自分の間違いに気がついたひとりの小人は立ち上がる決心をします。頑なにその場を動く事を拒否するもう一人の小人とは別に、行動を起こした方の小人はついに苦労の末新しいチーズを発見する事になるのですが、同時にそこでお腹をいっぱいにしたあの二匹のねずみも発見し、なぜ彼らのようにもっと早く行動しなかったのかと自分を悔やむのでした。

この物語は、私たちが生活しているこの複雑な世の中を迷路に、お金や幸福をチーズに、そして読者である私たち人間を小人に例えて、世の中の細かい変化に合わせて臨機応変に対応していく事のへ重要性を訴え、また失敗を恐れて何も行動を起こさない事への警鐘を鳴らす寓話的な作品になっています。

大事な決断をする時に役立つ

この本には、普段とは違った事や何か新しい事を始めようとする際に心に湧いてくる恐怖心や迷いを振り払ってくれる言葉がたくさん載っているので、優柔不断な私が何か大事な決断をする時にはいつも役に立っています。

例えば、作中に「自分の心の中に作り上げている恐怖の方が現実よりずっとひどいのだ」という言葉が出てきますが、これには思わず共感させられます。まさにかつての私は何かを行動しようとするときにはいつもやる前からネガティブな事や最悪の事態ばかりを想像して恐怖に怯え、結局は何もしないという事を何度も繰り返してきました。そんな自業自得により代わり映えの無い平凡な日常を送っていた私にとって「お前は何をしているんだ。繰り返し同じことしかしないでおいて、事態が好転しないのを不思議がるなんて本当にどうかしている」というセリフは正論すぎて、返す言葉もありませんでした。

このようにこの本は、新しい一歩を踏み出そうとしているのになかなかできないでいた私に、次々と痛烈な言葉を投げかけて目を覚まさせ、やる気を起こさせてくれる一冊になりました。

この本では、行動を起こしたくても新しいことに踏み込めないで躊躇してしまうのは、先を見通せないことに対する恐怖心から来るものだと分析し、さらに変わるということは何かを失うのではなく必ず何かを得られるのだから、何も怖がる必要はないんだと、私たちの背中を強く押してくれています。

色んな事を深く考えるだけ考えて、結局は何の行動にも移さない作中の小人は、まさに本書を始めて読んでいた時の私そのもので、読みながら後ろめたさや恥ずかしさを何度も感じながらも、この本のおかげで私自身も変わる事ができたような気がします。「古いチーズに早く見切りをつければそれだけ新しいチーズが見つかる」という事に小人は物語の最後になってようやく気がつくのですが、私自信ももっと速くこの本に出会っていれば今よりもいい人生を送れていたかもしれません。

また、「新しいチーズがまだ見つからなくても、新しいチーズを楽しんでいる自分を想像すればそれが現実化する」と作中では語られていますが、本当にそうなるのかは別として、いつもネガティブな事ばかりを考えて落ち込んでしまうよりも、ポジティブな事を考えて明るい未来を想像をしている方がずっと精神的な負担は減り少しばかりは心も楽になりますので、たまには現実逃避をしてそういう妄想にふけるのも悪くないなと思うようになりました。

この本にはそれほど特別な事は書かれておらず、子供の頃に教わった当たり前の事しか書かれていませんが、私たちに改めてそれを思い出させてくれる大人のための童話だと感じました。


ネガティブなことを考えてしまいがちな人におすすめ

この本はたくさんの企業が社員教育に利用するなど、多くの働く人達の間で読まれている本ではありますが、私は逆に現在働いていない人達にこそこの本を強くおすすめしたいです。

この本を始めて読んだ時の私は、ほとんどニートに近いような状態でした。それもあって当時このお話を読んでいて真っ先に感じた事が、この本を私と同じような人に読ませたいという事です。ニートや引きこもりのすべてが、やる気がなくてだらしがないのではなく、彼らの中には意外と真面目な性格を持った人がたくさんいるという話を聞いたことがあります。

彼らのような社会に出られないでいる人達の多くは、人一倍ネガティブな事ばかりを考えて失敗を恐れ、行動する事を躊躇してしまうまさに作中の小人とよく似た人達だと私は思うので、彼らにこそこの本を読んでいただき、行動する勇気を持って立ち上がってほしいと思います。

またこの本は、本当はそうした方がいいとわかっているのに、あと一歩を踏み出せないでいる人へ最後の決断をさせてくれるのに役立つ本であると感じます。例えば、もうほとんど夢は叶わないと理解しているのに、止めるに止められずいつまでも夢にこだわり続けた
結果、気がついた時には再就職が不利な年齢に達してしまいそうな人や、自分の魅力に自信が無く若い時に異性との交流をおろそかにし続けてきた結果、結婚適齢期を過ぎてしまい気がついたら結婚が難しい年齢に近づきつつある人など、作中の小人のように現実から目を背け続けていつまでも変われないでいる人達に読んでもらう事で、たくさんの人をギリギリの状況から救い新しい道へ導いてあげられる一冊なのではないかと思います。

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チーズはどこへ消えた?

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