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シャーロック・ホームズの思考術 マリア・コニコヴァ

推理オタクなら誰もが憧れる人物、いや今なら一般人でもその名を知らない人はいないでしょう。アーサー・コナン・ドイルの推理小説「シャーロック・ホームズシリーズ」の主人公であり、架空の人物。天才的な観察眼と推理力を持つ世界でたった一人の顧問探偵である、シャーロック・ホームズ。そのシャーロック・ホームズの思考をコナン・ドイルの作品から読み解き、それを私達の日常生活に役立てられないかということで描かれた作品がこの作品です。

シャーロック・ホームズがどのようにして、発生した問題にアプローチしていくのか。普通の人には解けないような難解な問題にどう対処していくのかということをきめ細やかな解説とともに著者は綴っています。

シャーロック・ホームズは超人といえば超人ですが、決して私達とは異なる能力を、問題解決に使用するわけではありません。彼も私達と同じ人間です。人間の思考回路を使用して問題を解決します。

したがって、彼が推論して解いた問題の結末は、私達にもわかるような結末であり、そのトリックも蓋を開けてみれば、いかにもありそうな非常に単純なものであります。しかし、なぜそれがシャーロック・ホームズには発想することができるのに、私達にはそれができないのか、そこの違いは何なのか、それを解説した非常に面白い本です。

シャーロック・ホームズの推理法として挙げられるのは、徹底した現場観察によって得た手がかかりを、過去の犯罪事例に関する膨大な知識、物的証拠に関する科学的知見、犯罪界の事情通から得た情報などと照らし合わせて、分析、何が起きたのかを推測します。
よく使用する証明法には消去法があげられます。シャーロック・ホームズは作中でもこう述べています。「不可能を消去し、最後に残ったものがどんなに奇妙なものであっても、それが真実になる」と。この発言は彼が消去法という単純明快な論法を使用し難問を解決している証拠になっています。

この本は第1部から第8部からなり、部を追うごとにシャーロック・ホームズのマインドセットがわかるようになっています。まず自分自身を理解するところから始まります。言い換えれば自分にはどのような思考ができ、何を武器として使用できるのか理解する必要があるということです。自分にはどのような力があるのかということを理解できたなら、
その力を利用していくのかということをシャーロック・ホームズの難事件ともに解明していきます。

事実から物事を推理していくことを学べる

私がこの本を一読して、ためになったことは、脳を屋根裏部屋と例えて知識の蓄積、整理をしていくことと、必ず事実から物事を推理していくということです。
脳という屋根裏部屋には本来様々な知識が詰め込まれています。その屋根裏部屋のレイアウトや模様は人それぞれに違います。きちんと整理整頓されている人もいればそうでない人もいます。その知識の散らかり具会も人それぞれです。最も重要なポイントは知識をどう整理していくのかということです。つまり著者いわく知識を観察し、
自分の屋根裏部屋にストックするときが非常に重要だそうです。

というのも、単純に知識を詰め込んだ後に整理整頓するよりも、最初から整理して知識を蓄えたほうが、手間が省けるからです。また現にシャーロック・ホームズもそういった知識の蓄積をしていると思われます。そういうことから、私もそのようなマインドを実際に実践してみたところ、記憶の定着がはかどりかつ、その知識を引き出す速度が早くなる実感がわきました。

しかし、このマインドセットを実行しても必ずしもシャーロック・ホームズのような発想ができるというわけではないということを先に述べておきます。というのもシャーロックはこの知識の蓄積法を誰よりもストイックに、時には麻薬に手を染めてまで行うのです。それを現代人ができる人はとても少ないと思われます。

シャーロックレベルの知識の蓄積を行うためには思考にそれほどの意思をかけている人でなければ到底到達できないと思います。卓越した推理がうまくいくかどうかは、解法に必要な知識があるかどうかが重要になってきます。

しかし必要な知識をピンポイントで知ることは難しいことであり、やはり膨大な知識を頭の中に蓄積させる必要があります。単に膨大な知識を蓄えると言っても、普通の人ならば、それすらも難しいのです。なぜなら普通の人は知識を蓄えるためには観察するということも必要ですがそれすらも非常に難しいです。

私たちが普段から見ている景色とシャーロックが見ている景色は同じ景色であっても、全く違うように見えているのです。というのも、見るということと観察するということは本質的には全く異なる現象であるからです。そこの違いもこの本には詳しく記載されており、この考えは私達の日常生活でも十分役立つものだと思われます。ただ見ているだけでは、観察とは言えません。物事を多面的にみて解釈していく。それができてこそ観察といえるのです。

基礎的な問題解決思考を学びたい方へ

シャーロックホームズは架空の人物です。彼の見事なまでの推理術は、所詮作り話の中の話で、現実では実現不可能にちかいのではないかということは誰もが思うところでしょう。
事実、シャーロックホームズのように日本で探偵を生業にしている人はマイナーであり、やはりその思考は私達とは異なるもののようです。私達はシャーロックになりきろうとしても、それを実現させるのはなかなか困難を極めます。というのも、理想と現実の違いがあまりに、乖離しすぎていて長続きせずに終わってしまうからです。

ですが私たちはシャーロックから、引いては作者のコナン・ドイルの思考回路を想像し、それを自らの生活に少しずつ、少しずつ役立てていくことは十分に可能です。彼の思考を学ぶことで、劇的変化はなく、シャーロック本人までのレベルにまで到達せずとも、私達自身の生活をよりよいものに変えていけることは間違いないでしょう。そういう意味では、基礎的な問題解決思考を学べる1冊であり、一読する価値がある本だと思います。

仕事などで、論理的思考が必要な方、問題解決力が求められる方に是非オススメしたいです。正しい思考法さえ身につけ、それを実行することさえできれば、必ず求めた結果は帰ってきます。今の生活、今の自分から脱却したいという方、是非読んで下さい。そしてシャーロックの思考に触れて、それを理解することで、新しい視点を是非身に着けていただきたい、そう思います。

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シャーロック・ホームズの思考術 (ハヤカワ文庫NF)

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