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ソロスは警告する2009 恐慌へのカウントダウン ジョージ・ソロス

この本は、世界的に著名な投資家であるジョージ・ソロス氏が2008年にリーマンショックが発生した直後に出版した本です。そして、この本では2009年初頭時点での世界経済の状況について述べ、経済危機に対して発動すべき政策を述べています。

まず、ソロス氏は2007年に発生したサブプライムショックのあともドル高が続いた要因について、ドルの上昇を支えていたのはアメリカ経済に対する信認ではなく、ドル建ての債務を返済できないか、あるいは借り換えができない企業や投資家が多いという現実であったと述べています。

 つまり、新興国の企業はドル建ての債務を多く抱えており、しかもドル高が進行しても借り換えができないほど多額の債務を抱えていたため、リーマンショック発生とともにバブルが破裂したという状況を説明しています。アメリカ経済と新興国経済は密接につながっているのです。

また、バブルが崩壊すると、信用収縮、強制的な資産の売却、デフレが発生すると述べています。そして、デフレ環境のなかでは積み重なった債務の重みで銀行システムが沈没することもありうるし、銀行システムが危機に瀕すれば経済は恐慌状態に陥るため、どのような手段を用いてでも政府は銀行システム危機を回避しなければならないと述べています。

ソロスは、その方法として、信用収縮を押し戻せるだけの資金を作り出すことが重要と述べています。次に銀行の資本を再建し、信用創造を再開することができればデフレ圧力は引っ込むことになると述べています。

具体的にとるべき政策としては、財政出動による景気刺激、エネルギー価格を高く保つこと、国際金融システムの改革などを挙げています。とくに、現状ではアメリカはIMFと世界銀行の理事会において拒否権を持っているため、発展途上国や新興国もアメリカ基準での経済運営を強いられています。現行の国際金融システムのおかげでアメリカは世界中から資金を吸い上げ、経常赤字を膨張させてきました。

しかし、経常赤字の膨張がピークに達するとバブルは破裂するのです。このため、国際金融システムを改革し、発展途上国や新興国がアメリカ発の金融危機の余波をこうむる事態を回避させる方策を探す必要があるとしています。

世界経済のキーマンはアメリカであることを理解できる

私は証券会社の子会社で、ファンドマネージャーを務めているため、常に世界中の資金の動向を注視しています。この本を読んだおかげで、世界経済のキーマンはアメリカなのだと、はっきり理解することができました。いまでも世界銀行とIMFに対しては、アメリカ政府は強い影響力を持っています。

このため、今後もアメリカ経済が好調であれば世界経済は好調ですし、アメリカ経済が不況に陥れば、世界経済も不況に突入してしまうと確信を抱くことができました。
そして、2008年のリーマンショックから2017年初頭の今日に至るまでの、アメリカ政府や日本政府、ヨーロッパの中央銀行などが採用してきた政策は、ソロス氏がこの本で提言している内容と同一歩調をとっていることを学ぶことができました。

しかも、実際にアメリカ経済は復調の兆しを見せ、すでにアメリカは大規模な金融緩和政策を終了させ、物価上昇率が2%に達しているため利上げ政策に転換しています。また、トランプ政権が発足してからは大規模な減税と、大規模な財政出動を掲げており、これからのアメリカ経済は過熱しはじめ、状況によってはインフレが発生し、高金利の状態となることが、この本を読んで予見できるようになりました。

また、日本経済においても2013年から安倍政権が大規模な金融緩和政策を発動し、悪戦苦闘しながらもデフレ脱却の道筋をつけようと懸命に政策を発動し続けています。日本経済においては、おそらく消費税の再増税を断念すればデフレ脱却に成功し、日経平均株価は上昇し続けることができると判断できますし、一方、消費税の再増税を実行してしまえば再び日本経済は収縮に向かってしまい、日経平均株価は下落に向かってしまうだろうと判断できます。

こうした私の判断の基礎にあるものは、この本に書かれているソロス氏の提言や経済状況の分析のおかげです。

それに、ドル高が進む為替状況が続いていますが、その一方では新興国の通貨が下落することを、この本を読んだおかげでいちはやく判断でき、新興市場の通貨については早めに利益確定をすることができました。

経済・金融政策を運営する方に是非読んで勉強してほしい

まずは日本の与野党の政治家に、この本をお勧めします。保守の政治家であろうと、リベラル派の政治家であろうと、経済政策や金融政策の運営については取るべき政策は変わらないことが、この本を読めば理解することができます。

とくに民進党に在籍している旧民主党の政治家は、この本を読んでしっかりとマクロ経済政策や金融政策についても勉強すべきです。

2009年から2012年にかけての民主党政権は、あれだけ円高が進んだ状況下で輸出企業が苦しい立場に立たされても、金融政策を追加で発動して為替を円安に誘導しようとはしませんでした。さらには、リーマンショック以降、日本経済は立ち直りの兆しを見せていなかったにもかかわらず、民主党政権は大規模な財政出動をしようとはせず、むしろ消費税を増税するという緊縮財政の道を選択したのです。

あのまま民主党政権が今日まで続いていたら、日本経済は大恐慌に突入したかもしれません。それを思うと、民進党の政治家にはこの本を読んで勉強してほしいと思います。

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ソロスは警告する 2009 恐慌へのカウントダウン

ソロスは警告する 2009 恐慌へのカウントダウン