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ビジネス書籍ユーザーレビュー

ビジネス関連書籍の紹介日記です

テクノロジーは貧困を救わない 外山健太郎 松本裕

この本は元マイクロソフト技術者の外山健太郎氏が書いた、テクノロジーと貧困の関わりについての本です。外山氏は、現在のメインテクノロジーであるデジタル端末を長年扱っているマイクロソフトの元技術者であり、テクノロジーが貧困問題について何ができるのか、そして何ができないのかを、その柔軟な発想力や、世の中に対しての開かれた姿勢によって観察と研究をして書かれたのがこの本です。

これまで様々な人達が、その時代の最先端テクノロジーを使い、飢餓や貧困、戦争や差別を無くそうと努力してきました。

 そして、テクノロジーにより経済の仕組みが効率化することで、人間社会の効率が高まればあらゆる人種、あらゆる所得階層の人がチャンスや恩恵を得られ、これまでよりも良い暮らしができると考えて突き進んできました。

しかし、その結果は金融市場の暴走によるリーマンショックのようにな出来事を引き起こし、貧しい人とともに、一般的な生活をしていた人も追い詰められ、多くの人が資本主義の閉塞感を感じる結果となりました。

このように、テクノロジーとは必ずしも人を幸せにしないことを記している本ですが、この本で語られているのは、安易なテクノロジー批判ではありません。

この本は著者である外山氏が、インドといういまだ階級制度が存在する格差の激しい国で、テクノロジーを盲信してPCを導入するだけでは何の解決にもならなかった事実に基づいて、テクノロジーとは何か、そしてテクノロジーとはどう扱えばよいものかについても語られています。

また、インドとともに、1日数ドルで生活をしている人達が暮らしている国についても書かれており、テクノロジーがうまく機能しないのは、特定の国の問題ではなく、テクノロジーと人との関わり合いが起こす構造的問題であることも記されています。

このように、この本では現代社会で成功するために必要だと言われているPCを使ったスキルを、貧困に陥っている国の人達の学校などに導入した結果、貧困を脱するために本当に大切なことは、最新のテクノロジーを導入することではなかったということについて書かれている本です。

テクノロジーはあくまでツールであり大切なのは心のあり方

この本を読んで深く感じたのは、いつの時代も大切なのは「人」そのものだということです。
この本では著者自身がインドなどのいまだ経済的苦境に立たされている人が存在する国で体験したことや、そういった苦境から這い上がれた教え子や知人の体験を通して、彼らが経済的苦境から抜け出せた理由が彼らの奮起する心や考え方といった精神性からくるものであり、テクノロジーはその思いを後押しするツールでしかなかったことを教えてくれます。

私たちは最新のテクノロジーこそが、未来を明るくするための方法だと考えているフシがあります。その証拠に、購入価格を気にしなくても良い場合、今持っている物やまだ使える物が手元にあったとしても、最新の物が前の物よりも良くなったと知れば、多くの人が買い換えを検討します。

例えば、以前のようにスマホが追加料金なしで機種変更ができるとなれば、古くなった物よりも新しい物のほうが良いと考えることを自然としています。
その考えはまさに、新しい物や新しいテクノロジーのほうが古い物に比べて「常に」良いと考えている証拠です。

しかし、多くの場合、長続きするやる気や動機付けを与えてくれるのは最新のテクノロジーではなく、自分自身の心のあり方です。
それに気づかず、新しい物を次々求めることは、成長に不可欠なモチベーションを使う方向を間違えることにつながります。

私はこの本を読んでから、何かをするときに本当に必要な事はなんなのだろうかと考える癖がつきました。私は現代的な生活をしているので、1日のうちの多くの時間をPCの画面の前で過ごしています。

そんな生活をしていると、全てをデジタルにしたほうが効率的で、もっと良い状態を作り出せるのだと勘違いしやすくなります。

そのため、PCを離れてソファーに座ると、アイデア出し用に用意したタブレットを使い、ベッドではスマホで考えをメモをしたりネットサーフィンをしたりする毎日でした。
しかし、アイデア出し用に用意したタブレットはいつの間にかゲームとネットサーフィンがメインになり、スマホに書いたメモは1度も見返したことがないことに気づいたことで、本来やりたかったことであるアイデア出しとメモに集中できるアナログなメモ帳を使うようになりました。

テクノロジーが私たちの生活を良くしてくれているという思い込みに近い考えを捨てることで、本来したかったアイデア出しやメモが簡単にできる環境が作れたのです。

このように、テクノロジーと向き合い方を変えるきっかけとなってくれたことが、この本を読んで良かったと思える点です。

働き盛りのビジネスマンが1日の時間を見直すのにおすすめ

これまで述べてきたように、この本は貧困問題という世界的問題を通して、テクノロジーとの付き合い方を教えてくれます。
表現方法も、貧困問題のリアルさを追求した本ではないため、生々しい描写などもありませんし、難しい技術論もないため様々な人に読みやすくなっています。

そのためおすすめしたい方は、年齢を問わず生活の中にデジタル製品が多く入り込んでいると感じる人達です。
現代では若年者のスマホ依存が指摘されています。寝るとき以外のほとんどの時間をスマホに費やしている方には、自分とテクノロジーとの間合いを考えてみるきっかけになります。

そして、一番おすすめしたい方は、時間がないと感じている働き盛りのビジネスマンです。この本をきっかけに、いかに自分が現代のテクノロジーに依存していて、テクノロジー自体が人間にとって一番大切な時間や気力を奪っている原因の1つだということに気づくことができれば、1日という時間の中には沢山の時間があることに気づくきっかけになり、必ずしも様々な時間術で時間を捻出する必要がないことに気づけるようになるからです。

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テクノロジーは貧困を救わない

テクノロジーは貧困を救わない