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ビジネス書籍紹介日記

ビジネス関連書籍の紹介日記です

「できる人」が会社を滅ぼす 柴田 昌治

この本の著者は柴田昌治さんという方です。ドイツ語の先生をしたのち、ビジネス教育の会社を設立しました。働き方改革や組織風土の改革に取り組んでおられます。

会社の改革に関する本をたくさん書いておられますが、その中でもこの本は時代の変容や組織の特質といった本質的なところから、具体的な対応策まで書かれており、おすすめできる本です。

 タイトルを見ると、「できる人が会社を滅ぼす」なんて普通の考えとは違うと思われるでしょう。しかし、「できる人」の内容が問題なのです。「できる人」は仕事はできるけれど、仕事をさばくことしか考えない。その仕事の意義や価値、背景、方法といったことを考えることをせず、仕事そのものを問い直すことをしないのです。

そのため、会社の重要な問題を見過ごしがちになります。また、変化の激しい今の時代には、同じ仕事をただ効率よくさばいていればよいわけではありません。時には社会の変化に合わせて会社も変わっていかなければならないのです。

しかし、仕事ができる人はそういうことには目が向かず、目の前の仕事をさばくことに集中してしまいます。そういう人が多いと、いずれ会社は滅びてしまう。そういったことが書かれている本です。
日ごろ多くの人が感じるような会社の問題点が、実に論理的に書かれています。例えばトップダウンだと、これからの会社は生き残れないと書かれています。その理由として、現代の時代の変化の激しさが挙げられています。外部の環境が激しく変化する中では、不確実性が高く、変化に応じた多様な答えが求められます。トップ一人の価値観や経験則でその変化に対応できるはずがありません。

いくらトップが素晴らしい力を持っていたとしても限界があります。社員それぞれが力を発揮してこそ変化に対応できるのです。
経営層の、どう考えてもいまいちな決定に疑問を抱いている方も多いでしょう。本書のこうした記述から、その疑問が間違っていなかったことがわかると思います。

チームワーク型の組織を作ることが会社を強くする

本書で特に役に立ったのが、上司とメンバーそれぞれとの関係に関する部分です。上司一人と、他のチームのメンバーそれぞれが、傘の骨のように直接結びついている組織は弱くなるといったことが書かれています。リーダーが、個々のメンバーに直接、細かい指示を出すのはよくないということです。

実際、民主党政権ではある省庁で、リーダーシップを重んじる大臣の下、副大臣や政務官をはじめ、メンバーがほとんど顔を合わせたこともなかったことが紹介されています。リーダーシップと言って、リーダーとメンバーが直接結びついていてはよくないことがよくわかります。リーダーが一対一でマネジメントするには限界があります。

それよりも、メンバー同士の学び合いの姿勢が重要だと書かれています。部下同士が自由に議論しあいお互いの結びつきを強められるチームワーク型を目指すべきとのことです。

この点、自分が所属する組織や職場が、一対一マネジメントが行われており、日々疑問を感じる部分でしたので、大変共感できました。私の職場のリーダーも素晴らしい能力を持った方ではありますが、すべての分野で最新の情報をカバーできているわけではありませんし、不得意な分野もあります。

一方、メンバーはそれぞれ得意分野があって、ある分野では当然、リーダーより詳しい人もいます。そういう分野については、リーダーから指導されるよりも、他のメンバーから教えてもらう方が、より適切であることは間違いないでしょう。

そもそもリーダーは忙しいので、すべてのメンバーのマネジメントをするのはそもそも時間的にも難しいはずです。また、メンバーのほうも、常に指示を受ける側では仕事に対して積極的に取り組むことができず、受け身になってしまいます。それでは仕事に能力を十分に発揮することができません。

時には教える側に回った方が、より意欲的に仕事に取り組むことができるでしょう。そのため、リーダーが一対一でマネジメントするよりも、チームのメンバー同士で、教えあったりする方が、チーム全体のためにはよいのではないかと感じていました。組織改革に長年携わってこられた方も同じ考え方をしていることがわかったことはとても意義がありました。

会社や組織のあり方に疑問を感じているは必読

会社のあり方に疑問を感じている人、自分の仕事はこれでよいのだろうかと思っている人などにおすすめです。
この本には、そういった方に向けて、具体的な対応策まで書かれています。

例えば一人で組織に異を唱えてもなかなか組織は変わりません。公式の会議で何か変革を訴えても受け入れられないことが多いです。

しかしその一方で、自分と同じような疑問を持っている人は実は少なくないのです。飲み会の場で、会社に対する不満が出ることが多いのはその証拠でしょう。それを飲み会の愚痴り合いで終わらせるのではなく、問題意識を共有できる人が、非公式につながりを持つ。
そしてその輪を広げていく。それが力を持って会社の上層部を動かすこともありうる。まずは、社内にセンサーを張り、非公式なつながりを持つことが会社を変える糸口になるというのが筆者が提示する処方箋の一つです。会社に不満を抱き、何とか会社を改善していきたいという問題意識を持っている人には行動するヒントが得られると思います。

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「できる人」が会社を滅ぼす

「できる人」が会社を滅ぼす