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任意売却で住宅ローン地獄から抜け出す本 木原洋一

著者の木原洋一さん(任意売却推進センター代表)は、自身が陥った住宅ローン地獄の経験をもとに、現在は任意売却コンサルタントとなり、住宅ローンの返済で困っている方や、金融機関からの督促状などに悩まされている方を対象に、任意売却による円満解決をサポートしているようです。

住宅ローンの返済に困って相談する先は、まず住宅ローンの貸主である金融機関になると思います。そうすると金融機関の担当者は、「ローン返済猶予法により、3年間は元本の返済はストップして、金利だけ返済していただくのでも大丈夫ですよ」と、一見味方のようなやさしい提案をしてくれます。

 しかし、実際のところ、住宅ローンを組む際に、保証会社に住宅ローン債務の保証人となってもらっているため、金融機関としては借主が返済できずとも保証会社から保証債務の弁済を受けることにより満足を得られるため、困ることはなく、また、保証会社(当該金融機関の系列会社であることがほとんど)も保険に入っているため損をすることはありません。にもかかわらず、担当者としては、自分の担当顧客の中に不払いの人が出てしまっては困るというノルマ・成績的なものを第一に考えて、住宅ローンの不払いを阻止しようとするのです。やさしくはありません。

また、無料法律相談などで弁護士に相談すると、よく分からないのに「自己破産がいいでしょう」と勧められるそうです。しかし、自己破産をし、自宅が競売にかけられたとしても、競売ではかなりの安値で決まってしまうため、債務全額を返すことはできず、かなりの損をしてしまうことになります。
これらに対し、任意売却は、競売のような安値ではなく、その自宅を欲しいという人や不動産会社と交渉して売買契約を締結するものであるため、より高額で売ることができ、自己破産をすることなく、身の丈に合った債務の返済をすることができるようになります。
著者は、自身も住宅ローンの返済に困ったという苦い経験をされている方なので、同じような方に対して、もっとも精神衛生上よく、かつ高値で売却できる任意売却の提案をしています。

任意売却のメリット・デメリットを学べる

本書では、住宅ローンの返済に困っている方の相談事例をもとに、任意売却がどのような流れで進んでいくか、そして、任意売却と似ている「競売」や「自己破産」とはどのような点で異なるか、それぞれのメリット・デメリットを比較する形で、詳細に説明されています。
その中での任意売却のメリットとしては、次のようなものがあります。
・任意売却をすることにより市場価格に近い価格で販売することができるので、債権者へより多くの返済が可能になる。
・任意売却した際、引っ越し時期を考慮してもらえる。
・任意売却後の債務の返済も柔軟に対応してもらえる。
・一般の売却と同じ方法で販売するので、近隣・会社等に秘密にできる。
・債務者には経費が一切かからない。
・未納の管理費や税金などにも対応してもらえる。
いままで、なんとなく「任意売却」というものについてのイメージだけはありましたが、この本を読んで、より一層任意売却に対して良いイメージをもつことができました。

また、知っているようで知らなかった住宅ローンの基本的仕組みについては、非常に分かりやすかったです。
住宅ローンの融資を受けるとき、銀行は主に系列の保証会社と住宅ローン破たんの場合の補償を契約します(約2%前後の保証料)。何事もなければ銀行はローンの利息を、保証会社は保証料を利益としますが、ローンが破たんすると、銀行の債権は保証会社へ移り、そして債権回収会社(サービサー)へと移っていきます。

この過程において、銀行は保証会社から残債の支払いを受けることができるので損失はゼロで、また、保証会社はそれまでの保証料と、サービサーへの売却でペイするか、損失が出た場合は保険等で穴埋めをして損失は出さない仕組みになっており、さらには、サービサーは、額面上では1000万円の残債の支払いをローン締結者に求めるものの、これらの残債は約10万円から100万円程度で買い取っているのが実情であるため、例えば10万円で買った債権なら、その後に、月々1万円の返済を汲んだとしても11ヶ月目から利益がでることになる、という誰も損をしない裏の仕組みは、大変面白かったです。

住宅ローンの返済に困っている方は必読

任意売却に関する書籍はいくつか出版されていますが、いずれも任意売却の制度や手続き的なところ、またはQ&Aなど、法律・制度的な解説で終わっており、抽象的で難しいという印象を抱きました。しかし、この本では、著者が実際に任意売却推進センターの代表として、住宅ローンの返済に困っている方の相談などを事例として説示しているため、具体性があり、とても分かりやすかったです。

特に、住宅ローン適正診断チェックのページでは、12個の質問に答えていくだけで、おのずと現在おかれている状況を把握することができるというのはおもしろかったです。

また、現時点でまさに住宅ローンの返済に悩まれている方にとっては、いつ督促状なり法的書類がとどくが不安だと思いますが、ローン不払い3ヶ月目には「催告書」「督促状」が届くので、そうしたら適切な対応をとるべきとか、ローン不払い5か月目には「期限の利益の喪失予告(最終督促)」、6カ月目には「期限の利益の喪失予告(最終請求)」、7~9カ月目には「代位弁済通知」など、ローン不払いの各時期に応じてどのような書類がとどき、それはどういう意味なのかについても説明がされているため、適切な行動をとるための一助になると感じました。

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自己破産しない!任意売却で住宅ローン地獄から抜け出す本

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