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起業家 藤田晋

サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏が書いた本で、自身の起業家としての歩みを、ネットバブルの崩壊から1年半後の2001年秋より、告白体の文章で赤裸々に綴ったノンフィクションです。

会社の買収危機を乗り越えるまで、堀江貴文氏との交流やどんどん成功していく彼に対する嫉妬心、メディア事業を会社の将来の主力事業にしていこうとする藤田氏の奮闘の様子など、社長としての立場からその一時一時にどのように対処し、どのような感情を抱いたのかが克明に描かれています。

 2001年5月。藤田氏が28歳の誕生日を迎えた頃、サイバーエージェントは株価低迷に喘いでいました。それを見計らって、当時M&Aコンサルティングの社長を務めていた村上世彰氏が、サイバーエージェントの株を市場で10%ほど買い占めます。サイバーエージェントの第4位の大株主になった村上氏は、「会社を清算し、上場時に調達した225億円を株主に返してはどうか?」と提案します。

堀江貴文氏との交流は、藤田氏が創業した半年後に手掛けたメディア事業である、「サイバークリック」のシステム開発を依頼したことがはじまりでした。その後も、藤田氏が営業を担当し、堀江氏が技術を担当するという形で提携関係を続け、メルマをはじめ、二人が行う事業は次々と成功していきます。その頃は、メディアでよく取り上げられる藤田氏に対して、堀江氏は地味な取り上げられ方しかされていませんでした。それが、堀江氏の「近鉄球団買収騒動」を機に、変わっていきます。

メディア事業を何とかして会社の将来の主力事業にしたい藤田氏でしたが、広告営業部門の活躍で発展してきたサイバーエージェント、その社内の反メディア事業への空気に苦しめられます。メディア事業への配属を希望する新入社員も少ない中、既存事業の収益力はどんどん鈍化していきます。会社の将来を担う、新事業を早く軌道に乗せなければ。藤田氏は、メディア事業を成功させるために、あらゆる手を打っていきます。

 何としてでもやり遂げる不退転の決意を学べる

藤田氏は「メディア事業」こそが、サイバーエージェントの将来を担う重要な事業になると考え、もっとも力を注いでいました。今でこそ、「アメーバ」と言えば、サイバーエージェントが誇る国内屈指のブログサービス(メディア事業)ですが、その黎明期はメディア事業部自体が、どの社員にも見向きもされない、言わば会社のお荷物のような存在でした。

そのような状態にあっても、藤田氏は「メディア事業を絶対に成功させてみせる」という情熱と気概を持ち続けます。役員や社員をはじめとする社内、そして株主やマスコミをはじめとする社外にも、「メディア事業を、将来、会社の主力事業に育てます。」と発信し続けました。

その後、メディア事業を成長させることに行き詰っていた幹部をすべて更迭し、藤田氏自らが事業本部長になり、社長室ごとメディア事業部に引っ越します。新たな幹部も自らの指示・命令を完璧にこなしてくれるメンバーで固め、不退転の決意で臨みます。

多くの紆余曲折があったものの、アメーバは、目標としていた月間30億ページビューを達成し、まだまだ成長を続けています。こうした経過を読み、何事も、「何としてでもやり遂げる」と不退転の決意で臨めば、いつか必ず実現できるということを学びました。退路を断つことで、何が何でも次の道を見つけなければいけなくなり、結果として突破口となるアイディアが頭に浮かぶ。メディア事業成功までの道のりは、まさにこの一連の流れの繰り返しでした。

私自身も事業を行っていて、かなえたい目標があります。進んでいく過程で壁にぶつかると、「自分は何のためにがんばっているのか?」、「どうしてその目標をかなえたいのか?」という点について、今一度自分に問い直し、内なる意欲を再燃させるようにしています。

そのおかげでやる気を引き出すことができ、「目標達成のためにどうするか?」について考える時間、出てくるアイディアが以前より格段に増えました。

志や目標をもって仕事をする方におすすめ

これから起業を志す若い人や、すでに起業して目の前の仕事に無我夢中になっている人はもちろん、目標を持ち、壁を乗り越えようと日々奮戦する仕事人であれば、必ずや働く意欲を掻き立てられる内容になっています。

そのほかにも、仕事のやりがいって何だろう?どうすれば仕事が楽しくなるのだろう?といった、仕事に価値を見出し切れていない人にも、明日からの仕事をもっとより良いものにするヒントが随所に散りばめられています。

仕事に対して、真剣に向き合えば向き合うほど、壁や障害も多くなっていきますが、乗り越えた先に得られるものもまた大きくなっていきます。そして、その時の感動が、またこの先もがんばろうというやる気を引き出す原動力になります。

このことは、本書において躍動する藤田氏の言動に触れることで明快に分かりますし、自分が藤田氏の偉業を成し遂げてしまったかのような、成功の疑似体験もできます。成功者がどのような思考で日々仕事に当たっているのかを垣間見ることは、読者にとって、必ずや明日の自分のプラスになることでしょう。

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