ビジネス書籍ユーザーレビュー

ビジネス関連書籍の紹介日記です

影響力の武器 実践編 「イエス!」を引き出す50の秘訣 N.J.ゴールドスタイン他 共著

心理学者であるノア・J・ゴールドスタイン博士、コンサルティングサービスや研修を行っているスティーブ・J・マーティン氏、心理学者でありマーケティング指導教授であるロバート・B・チャルディーニ博士の共著です。人を説得するとき、人が承認するときにどんな心理学的要素が関係するのか。これを単なるビジネス的な成功体験からでなく、心理学的な統計調査に基づいて、科学的に解析し、研究した結果について書かれています。

例えば、テレビショッピングの番組である一言を付け加えたら、劇的に注文が増えたという事例について、その背景にどんな心理学的要因があったかを検証したり、ホテルでタオルの再利用を呼び掛ける際に、どのような方法が最も効果的だったか、いくつかの方法を試したうえで比較した結果が書かれています。

 人は他人と同じことを無意識にしようとする、無意識のうちに周囲と比較し平均値に近づこうとする、という人間の心理を利用すると、驚くような効果が得られたり、または望まない結果を引き起こしてしまうことがあるようです。

その他にも、ネットオークションの売り出し価格によって最終的な落札価格に変化があるのか、影響力のあるのはどのような文章や商品説明か、交渉事をするときに当人の心理状態はどのように影響するか、等が書かれています。

実際に起こった出来事をもとにしたり、心理学的な実験の結果を例に出しながら、それをマーケティング的な視点で考察しなおすことで、具体的にビジネスに活かすイメージにつながるように書かれています。また、単にビジネスだけでなく、夫婦、親子、地域の人々などとの人間関係を円滑にするのにも役立つというような、ちょっと気の利いたアドバイスも書かれています。

様々な例が出されていますが、これは「「イエス!」を引き出す50の秘訣」という副題の通り、心理学的な影響力を武器に、相手に「承認」させる方法について、科学的に、具体的な方法についての本です。心理学のの学術的な本ともいえるし、ビジネスに役立つ秘訣が満載です。

見せ方を変えるだけで他人の印象は変わる

最もなるほどと感じたのは、弱点も見せ方次第で武器になる、というものでした。欠点を先の述べることで、その欠点を長所に変換させることができるのです。ただし、それにもちょっとしたコツがいるのですが、それは本書に実例が書いてあります。また驚いたのが、名前の響きに意外な効果があるというものでした。

人は自分の名前に音が似ているものに対し、無意識のうちに愛着がわくようです。ですから、子供に本を読ませたいと思ったら、子供の名前と音の似ているタイトルや主人公が出てくる本を勧めるとよいそうです。

それと、私はよく上司や同僚にメモを残すのですが、メモの残し方にもコツがあるようで、手書きで添えるだけ、文書だけ、付箋をつけて手書きする、という伝え方でどれが一番目にとめてもらえるか、という実験についても書かれています。しかもその結果についての考察も書かれていました。

人は、相手の人がどれだけ自分に時間を割いて気配りしてくれたかということを、無意識に感じ取るのだそうです。直接的でなく、ちょっと手間のかかる面倒な事でも、それをすることで結果的に短時間で高い効果が得られる可能性があるというのは、なるほどと思います。

また、伝え方は読みやすく簡潔に、そして選択肢は多すぎないようにというのも参考になりました。選択肢が多すぎると確かに、良いようでありながら人は面倒くさいと感じるものです。顧客に提案するときは、2~3くらいに選択肢を狭め、欠点を先に言ったり、先に別の商品を紹介してから一番売りたい商品を提案する、という手法があるのだなと納得しました。

一つ一つは心理学的要素が強く、すぐには具体的なイメージができないかもしれませんが、上手く利用すれば必ずビジネスに活かせる秘訣を学べるはずだと思います。最後には実際にこの本にあるような心理学を応用したマーケティングで成功した例がいくつか挙げられています。まだ実践はしていませんが、これを実践して思うとおりに結果が出れば、さぞ面白いだろうなあと思います。

相手の心を動かしたいと思っている営業マンにおすすめ

最もおすすめなのは営業マンです。相手の心をどのように動かし、承認に導くか。どのようにしたら、最小の手間と時間で最大の効果が得られるか、といったことに興味がある方はきっと面白く読めると思います。これまでの営業で、いまひとつ効果が得られないと感じている方は、考え方の転換になると思います。

もちろん営業だけでなく、管理職にも非常に役立つでしょう。部下に効率よく仕事をしてもらいたい、上司や部下を上手に説得したい。また、人間関係がうまくいかないと感じている人にも、相手との関係を円滑に保つに方法として役立つと思います。内勤で業務をしている人も、必ず社内で人を説得したいと感じる場面はあるでしょう。また、配偶者や子供、家族が相手でも同じことです。

心理学的に科学的に書かれていますから、もちろん個別のケースには当てはまらない事も多いですが、人の全体としての傾向を知ることができます。なるほど!と思うことが多い本なので、是非ご一読をおすすめします。

ofee.tank.jp

影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

  • 作者: N.J.ゴールドスタイン,S.J.マーティン,R.B.チャルディーニ,安藤清志監訳,高橋紹子訳
  • 出版社/メーカー: 誠信書房
  • 発売日: 2009/06/09
  • メディア: 単行本
  • 購入: 16人 クリック: 112回
  • この商品を含むブログ (28件) を見る