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ビジネス書籍ユーザーレビュー

ビジネス関連書籍の紹介日記です

MEDIA MAKERS 田端信太郎

著者の田端信太郎さんは自らを「メディア野郎」と称するように、長年メディア業界一筋で常に第一線に身を置いている方です。

リクルートでは「R25」の立ち上げに関わり、livedoorでは「livedoorニュース」を担当し、あのlivedoor事件を社内で経験しています。現在はNHN Japanで執行役員・広告事業グループ長として「LINE」「NEVERまとめ」等を担当しています。

 この「MEDIA MAKERS」は、田端信太郎さん自身の経験からメディアについて書いている本です。メディア全盛の今は、どれほど高品質なものを作っても莫大な投資をしても、それを宣伝するメディアがなければ人には伝わらず、伝わらなければ例え作ったとしても存在価値は無いに等しく、その為にメディアの存在が日に日に大きくなっているのが現状であり今後ますますその傾向が進むであろう、という概要です。

 そもそもメディアとは媒体・媒質の意味で、何かが伝わる時の介添えになるものを差し、発信者・受信者・コンテンツの3要素の関係性を取り持つものとして機能します。メディアはそれ単体では存在せずに必ず何かと何かの間にあるもので、何かと何かを繋げる役割を担っているとも言い換えられます。

 メディアは社会を変えるばかりか個人を変えるほどの影響力があります。ただし、それほどの影響力がある為には、信頼されることが必要です。影響力の本質である信頼を得るには「予言の自己実現能力」が必要です。

 「予言の自己実現能力」には、ネットメディアを例に出し、ネットの特徴でもありますが、例え間違ったとしても後で修正すれば良い態度は、自らの首を絞めることになり信頼を得ることはできない、と述べています。

 経営状態が良くない会社を倒産する前から、例えば影響力があるネットメディアがその会社が資金繰りに苦しんでいるようで倒産の可能性がある、と記事にしたとします。結果その会社は間も無く倒産していまったのですが、後々、そのネットメディアが記事を出したときにはまだそれほど資金繰りに苦しんではいなかったので倒産は決定的では無かった、とわかったとします。

 それを、あの記事は間違っていたことと修正致しますといった態度では信頼を得られません。メディアが記事にしたことが実現したときに「予言の自己実現能力」が信頼されます。

社会を動かすには信頼を得ること

長年メディア業界でトップを走り続けていて、謙遜の意味もあってでしょうが自称「メディア野郎」の田端信太朗さんの経験や実績から得られる貴重なお話は、メディア業界関係者や業界に興味がある方だけでなく、社会を動かすにはどうすればいいのかといったことに関心がある方にとっても興味深い内容となっています。

メディアのことについて書かれている本で、マーケティングや差別化をはかりたいビジネスパーソンにもとありますが、ビジネス以外でも十分に参考になります。信頼を得ることは、学生でも主婦でも必要です。

 クラスメイトから信頼されていない場合の孤独感は悲惨です。学校は特に人間関係が凝縮されていて人と人との密着度が高いので、孤独を感じていると学校に通うことも難しくなります。主婦の方々でもそうです。信頼されないと生活できません。言ったことを行動しないと信用されず、言ったことを簡単に覆していてもそれは同様です。あらゆる人間関係に適用できそうです。

 ペルソナもSNSでは必須です。平凡な毎日をただ漠然と写真に撮ってアップしているだけでは、フォロワーを多く獲得することはできません。逆にそれが受けることもあるかもしれませんが、すぐに飽きられてしまいます。SNSでは今や自分のキャラ設定が必要で、尚且つそれをペルソナを想定して行えば効果は高くなります。

 ただ、田端信太郎さんのペルソナ設定はさすがに精度が高く説得力が違います。「富裕層のためのプレミアムメディア」のペルソナ設定の際に、地方で祖父の代から3世代にわたって続く60歳の開業医と、六本木ヒルズに住みスマホやソーシャルゲームの流れで株を上場させたネットベンチャー経営者では、同じ富裕層でも興味関心や好きな食べ物や車など何から何まで違う。

 ペルソナ設定での何気無い説明ですが、この視点もビジネスはもちろん日常やあらゆる場面に応用可能です。この精度と精密さをぜひ見習いたいと思いました。

人間関係で悩んでいる人にもおすすめ

「MEDIA MAKERS」はメディアのプロ中のプロがメディアについて書いている本ですが、その実人間関係で悩んでいるあらゆる人にも有効な本です。 

メディアは発信者と受信者を要するのであれば、発信するのも受信するのも人間です。人間に代わって作業を行ってくれるbotもありますが、botを設定するのは人間です。

「LINE」などの最新メディアの最先端で華々しく活躍するには、古くからある人間関係での信頼関係を築くことが必須だとわかりました。単にその媒体と手段が変わっただけで、強固な信頼関係を作れればメディアで影響力を発揮できる内容でした。

影響力を発揮できれば社会に変革を起こせます。今現在の自分に疑問や不満を感じている人が「MEDIA MAKERS」で学んだことを実践すれば、その状況を変えられるということでもあります。それはつまり、影響を及ぼされる側から、影響を及ぼす側にステップアップできるということでもあります。

diamond.jp

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議

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